国内

介護疲れだけでなく貧困のため将来悲観し親を殺害する例も

介護疲れだけが悲劇の原因ではない(イメージ)

 ここ数年の間に「介護殺人」が頻発している。昨年11月21日、埼玉県深谷市を流れる利根川で、両親の面倒を見ていた三女(47)が一家心中を図った、“利根川心中”はよく知られる事件だろう。そして、5月10日には東京・町田市で87歳の妻が92歳の夫を絞殺した後、首を吊って自殺した。夫は数年前から認知症の症状が現われ始め、体力が落ちて車椅子なしでは動けない状態だった。さらに今年に入ってから両目の視力もなくなり、認知症が一気に進んでいた。

 夫は介護サービスを受けるのを拒否していたため、妻が献身的に介護していたが、夫の状態が悪化してからは「夜も眠れない」と漏らしていたという。

 夫がようやく介護施設への入所に同意し、手続きがほぼ済んだ矢先に起きた事件だ。妻の遺書には夫に宛てたこんな言葉があった。

「一緒にあの世へ行きましょう。じいじ、苦しかったよね。大変だったよね。かんにん。ばあばも一緒になるからね」

 夫婦は何十年間も愛読していた新聞を、1か月前に「お金がないから」といって辞めていたことから、経済的困窮も一因だった可能性がある。介護疲れの末に殺害し、自らも命を絶ったという点は、今年2月5日に埼玉・小川町で起きた事件にも共通する。

 83歳の夫が自宅で介護していた77歳の妻の首を刃物で刺して殺害。「妻を殺した」と自ら110番した。夫の首にも切り傷があったことから、無理心中を図ったものと見られている。夫は逮捕されたが、約2週間にわたって食事を取ろうとせず、搬送先の病院で亡くなった。

 2015年12月17日には栃木・那須町で、71歳の夫が69歳の妻を殺害。妻は2004年に脳出血の後遺症で寝たきりになり、食事や排泄の世話もすべて夫が行なっていた。さらに妻に認知症が出始めた10年頃からは、「のろま」など暴言を受けるようになり、精神的に追い詰められていたという。

関連記事

トピックス

10月には10年ぶりとなるオリジナルアルバム『Precious Days』をリリースした竹内まりや
《結婚42周年》竹内まりや、夫・山下達郎とのあまりにも深い絆 「結婚は今世で12回目」夫婦の結びつきは“魂レベル”
女性セブン
騒動の発端となっているイギリス人女性(SNSより)
「父親と息子の両方と…」「タダで行為できます」で世界を騒がすイギリス人女性(25)の生い立ち 過激配信をサポートする元夫の存在
NEWSポストセブン
宇宙飛行士で京都大学大学院総合生存学館(思修館)特定教授の土井隆雄氏
《アポロ11号月面着陸から55年》宇宙飛行士・土井隆雄さんが語る、人類が再び月を目指す意義 「地球の外に活動領域を広げていくことは、人類の進歩にとって必然」
週刊ポスト
九州場所
九州場所「溜席の着物美人」の次は「浴衣地ワンピース女性」が続々 「四股名の入った服は応援タオル代わりになる」と桟敷で他にも2人が着用していた
NEWSポストセブン
初のフレンチコースの販売を開始した「ガスト」
《ガスト初のフレンチコースを販売》匿名の現役スタッフが明かした現場の混乱「やることは増えたが、時給は変わらず…」「土日の混雑が心配」
NEWSポストセブン
希代の名優として親しまれた西田敏行さん
《故郷・福島に埋葬してほしい》西田敏行さん、体に埋め込んでいた金属だらけだった遺骨 満身創痍でも堅忍して追求し続けた俳優業
女性セブン
佐々木朗希のメジャーでの活躍は待ち遠しいが……(時事通信フォト)
【ロッテファンの怒りに球団が回答】佐々木朗希のポスティング発表翌日の“自動課金”物議を醸す「ファンクラブ継続更新締め切り」騒動にどう答えるか
NEWSポストセブン
越前谷真将(まさよし)容疑者(49)
《“顔面ヘビタトゥー男”がコンビニ強盗》「割と優しい」「穏やかな人」近隣住民が明かした容疑者の素顔、朝の挨拶は「おあようございあす」
NEWSポストセブン
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
天皇陛下にとって百合子さまは大叔母にあたる(2024年11月、東京・港区。撮影/JMPA)
三笠宮妃百合子さまのご逝去に心を痛められ…天皇皇后両陛下と愛子さまが三笠宮邸を弔問
女性セブン
胴回りにコルセットを巻いて病院に到着した豊川悦司(2024年11月中旬)
《鎮痛剤も効かないほど…》豊川悦司、腰痛悪化で極秘手術 現在は家族のもとでリハビリ生活「愛娘との時間を充実させたい」父親としての思いも
女性セブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン