目の奥は笑ってない!? 小日向文世演じる秀吉
堺雅人主演、豪華キャストによる名演技と、三谷幸喜の目が離せない脚本で人気のNHK大河ドラマ『真田丸』。7月から8月にかけては、天下人となった豊臣秀吉の最期がたっぷりと描かれる。そこで、6月10日にクランクップした小日向文世(62才)に、演じた秀吉について話を聞いた。
――振り返ってみて秀吉役はいかがでしたか?
小日向:三谷さんがイメージして書いてくださったのもあるんですけど、喜怒哀楽がはっきりした役で、楽しんで演じることができました。両極の感情が行ったり来たりするのは、役者の醍醐味ですからね。役者冥利に尽きました。
――印象的な台詞や場面を教えてください。
小日向:たくさんあるんですよね。たとえば、初めて大きな怒りを表情に表したのが、捨(すて・後の秀頼)が生まれて、誰の子かわからないと壁に書かれた時。初めて秀吉は、腹の底から怒った。犯人の門番の親兄弟、さらには隣近所住民まで張りつけにしろと言うくらいですからね。このシーンが、秀吉の怖さが如実に表れた最初のシーンだった気がします。この時の秀吉は、恐ろしいですね。
――小日向さんは笑顔でも目が怖いシーンがある。
小日向:ぼくの意図してないところで、笑っているようで目が笑ってないと言われるんです。目の奥が笑わない芝居って、難しいですけどね(笑い)。きっと、秀吉の裏の部分を視聴者がわかっているから、笑っているようで実は相手の心を見抜いている、と想像してくれるからじゃないかと思う。ってことは、三谷さんの本の力かな(笑い)。
ぼくがドラマとか映画を始めた当初は、優しい役が多かったものですから、そのギャップで、怖さが伝わりやすいのかもしれませんね。
どこか、いつも半分笑っている目をしている堺(雅人)くんは、ぼくと似ていると思います。でもそれが、怒ると怖い。だから堺くんも、怒りに身を震わせるシーンは怖くなると思います。
――今までにない解釈があって、見応えがありますね。
小日向:三谷さんから最初に電話がかかってきたときに、「今までにない秀吉をお願いすることになる」と言っていたし、今までにない秀吉像を三谷さんはイメージしてくださっていたようですから。ぼくは本当に面白かったですね。
――秀吉の甥・秀次の死や晩年の秀吉の姿は、三谷さんが新解釈で描いているそうですが、台本を読んでどう感じましたか?