日本一チャラい東大生としてテレビなどに出演する、東大理科III類1年生の針間貴己くんが、様々な話題を独自目線で斬る新連載。今回は『サピックス』や『鉄緑会』など、今の日本のエリート頭脳を牛耳る“塾システム”について、経験者である針間くんに語ってもらった。
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まだ僕が受験生だったとき、父親が『塾歴社会』(幻冬舎新書)という本をたまたま買ってきていたので、暇つぶしにパラパラ読んでみたことがあった。
その本では『サピックス』(中学受験の大手塾)から『鉄緑会』(中高一貫校の生徒を対象にした東大受験指導専門塾)という塾に入るのが受験の王道である、というように書かれているのだが、実際その通りだと思うし、僕自身もそのルートを通って東京大学理科III類に合格することができた。その僕の経験を振り返りながら、日本の「塾歴社会」について語ってみたいと思う。
まず僕のことを知らない人のために軽く僕の経歴を書いておこうと思う。
僕は小4のときに『サピックス 王子校』に入り、中学受験では『筑駒』(筑波大学付属駒場)、『開成』、『ラ・サール』と受けた学校すべてに合格し、筑駒に進学。そのまま『鉄緑会』に入り、国語は『グノーブル』(大学受験の大手塾)にいったり、『東進ハイスクール』(大学受験予備校)にいったりしたものの、基本的には『鉄緑会』で勉強をし、今春、東大理IIIに現役合格した。
『サピックス 王子校』時代の友人2人もまた、『鉄緑会』を経て東大理IIIに合格している。友人2人のうちの1人は、僕と同じく筑駒へ進学したが、もう1人は筑駒、開成両方に落ち、別の学校へいくことになった。
それで思ったのが、『鉄緑会』にいくのなら、「中学校も高校も、どこへいっても関係ないのでは?」ということである。
受験合格のみを目標にするのなら、学校はほぼ関係ない。かつては学校の授業のレベルが違う…、などの問題が発生したが(田舎は今でもきっとそうだろう)、現在は学校の授業は聞いている人がそもそも少ないと思う。
教養は人間として大切なものだし、将来的にその教養が役立つ場面は数多くあると思う。実際、僕の経験でも、筑駒の経済の授業など興味深いものは多かった。
しかし、仮に「受験をいかに突破するか」ということにのみ焦点を置くならば、学校の授業は率直にいって無駄が多い。
僕は理系なので理系として話を進めると、例えば社会の授業はすべて無駄である。センター試験の社会は、直前1か月だけやれば十分な得点がとれる。国語についても、現代文は何回か記述の練習をすれば十分であるし、漢文も句法さえ頭に叩き込めばいい。学校の授業が役立つのは古文くらいであろう。
そのような背景があるので僕の周りでも、学校の授業はほぼ聞かずに内職(授業を聞かずに自身の勉強を進めること)ばかりしている人が多かったように感じるし、そのような人たちの合格実績は普通にいい。逆に言えば、学校の勉強ばかりしていた人たちよりいいと思う。そのような状況において学校よりも塾のほうが受験に対して明らかに影響をもっているので、今の日本は塾歴社会であると感じる。