近年、日本中の様々な建造物の老朽化が問題となっている。今の時代のニーズに合わせた建て替えがすすんでいるが、鉄道の駅舎の場合、その建造物の歴史的意義だけでなく、地域住民の歴史と記憶を担う役割も持つことも多く、先日、建て替えが発表された原宿駅など保存を求める声も小さくない。フリーライターの小川裕夫氏が、様々な方法で試みられている駅舎保存についてリポートする。
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6月8日、JR東日本は原宿駅の建て替え計画を発表した。
原宿駅は一日に7万人以上の人たちが利用する。原宿駅は1日の乗車人数が多い割に、ホームやコンコースといった駅施設が貧弱だった。混雑が激しくなれば、利用者の安全確保は難しくなる。原宿駅の建て替えは、利用者の安全を名目としている。
それだけだったら問題は起こらない。原宿駅が注目を集めたのは、大正13(1924)年に竣工した都内最古の木造駅舎だからだ。原宿駅舎はイギリス風の愛らしいデザインが人気で、原宿のシンボルとして長らく親しまれてきた。
新駅舎が建設されたからといって、すぐに木造駅舎が取り壊されるというわけではないが、JR東日本が「木造駅舎を残すのか取り壊すのかは、未定」と発表したことやJR東日本が示した新駅舎のイメージ図があまりにも無機質だったことも相まって、鉄道ファンや地元住民から「木造駅舎が取り壊されるのではないか」という不安が広がった。
近年、鉄道会社は歴史ある名駅舎を次々と葬り去っている。