放送作家でコラムニストの山田美保子氏が独自の視点で最新芸能ニュースを深掘りする連載「芸能耳年増」。今回は、まさかの都知事選出馬が取りざたされる石田純一と妻の東尾理子について語る。
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誰もが耳を疑った「石田純一、都知事選出馬へ」の一報。だが彼の本気度は日に日に増していき、8日午後、都内で出馬“意欲”会見を行うまでに。
同時刻に生放送をしていた日本テレビ、TBS、フジテレビはその模様をほぼノーカットで伝え、さらには、石田純一のプロフィールを改めて紹介していた。
ワイドショーと石田の関係は深くて長い。もっとも有名なものはゴルフのラウンド中、リポーターらに囲まれ、不倫について熱く語るVTR。あの「不倫は文化」が生まれたシーンである。
結婚歴は3回。3人の妻との間に、1人ずつ子供がいること。さらに、2度目の結婚が破たんした最大の理由となった長谷川理恵とは、結婚する、しない、家を建てた、そこには住まない、復縁、やっぱり破局…と、延々ワイドショーにネタを提供してくれたものである。
「ノーコメント」とか「対応ナシ」で切り抜けてもいいのに、自分が窮地に立たされているときでも、カッコ悪いときでも、マスコミに囲まれると立ち止まって話してくれる石田は、各局の芸能デスクやリポーターらにもっとも好かれているタレントと言っても過言ではない。「困ったときの石田純一」。あるいは「ジェーワン」とも呼ばれ、重宝されてきた。
老若男女、有名無名、相手がどんな人であっても石田は腰を低くし、優しく接する。
「若くてキレイな女性に優しい男性はたくさんいるが、石田さんは、年配の不細工な女にも優しい」と言っているドラマの女性プロデューサーがいた。彼女はこんなエピソードも教えてくれた。夜、ADの女性に男性スタッフがタバコを買いに行かせようとしたところ、打ち合わせ中だった石田純一が立ち上がり「ちょっと待って! こんな夜中に女の子が外を出歩くものじゃない」と静止したというのである。さらに石田は、そのADの手を取り、目を見つめて、「わかった? 行っちゃダメだよ」と言ったのだとか。Tシャツにジーンズ、ノーメイク、髪をボサボサにして現場で働く、ガタイのいい女子だったそうだが、彼女はもちろん、周りの女性スタッフはみな、石田の優しさと気遣いに涙したという。
目に浮かぶようだ。石田は局内で知った顔を見つけると、「あ〜、○○さん」と、その人の名前を呼び、笑顔で近づいてくる。それも媚びているふうではなく、とても自然に…。育ちの良さが原因しているのだろうか。
そんな石田の「結婚」や「不倫」以外のプロフィールを紐解くと、祖父が区議会議員経験者、父が報道アナ、姉は音楽関係の仕事をしていて、文化的な集まりの司会をする姿を見かけたこともある。
石田自身もニュース番組のメインを張っていたし、国会前でのデモ参加やマイクを持ってのスピーチは記憶に新しい。というワケで、出馬“意欲”会見は決して唐突なことではなく、実は納得のいく点がいくつもあり、今回はその点と点が線に繋がったかっこうだ。
テレビ朝日系の夕方のニュース番組『スーパーJチャンネル』のJは、実は「純一」の頭文字。石田が不倫騒動で番組を降板しても、そのタイトルだけは残っていたのである。