ソフトバンクの孫正義・社長(58)の後継者と目されたニケシュ・アローラ・副社長(48)が、6月21日の同社グループ株主総会前夜に突如退任を発表。このアローラ氏は、巨額な「報酬」でも注目されてきた経営者だ。
東京商工リサーチが6月末に発表した最新の「役員報酬ランキング」によると、1億円以上の役員報酬を受け取った役員は過去最多の414人。そのなかでアローラ氏の役員報酬は、過去最高額となる64億7800万円で2位以下を大きく離すトップだった。
ほかにも「役員報酬ランキング」の上位には日産自動車社長のカルロス・ゴーン氏(62)の10億7100万円、武田薬品工業社長のクリストフ・ウェバー氏(49)の9億500万円などの外国人経営者がズラリと並んだことが話題となった。
トヨタ自動車初の外国人副社長であるディディエ・ルロワ氏(58)の報酬は6億9600万円で「ボス」である豊田章男・社長(60)の倍近い金額だ。
日本人で目を引くのはソニーの平井一夫・社長兼CEO(55)の7億9400万円だ。だが、こうした高額「報酬」ばかりに目を奪われると実態を見誤る。経営者の収入は「報酬以外の部分」が大きいからだ。東京商工リサーチ情報本部の坂田芳博氏がいう。
「役員報酬だけで計算するのでなく、彼らの所有する自社株の『配当額』まで加味すると年収ランキングの順位は大きく入れ替わります」
本誌は企業トップの実態を知るべく東京商工リサーチの協力を得て、役員報酬1億円以上の社長、会長、代表取締役を対象に調査。2015年度(2015年4月期~2016年3月期決算)の有価証券報告書の公開データ(7月1日時点)を基に「役員報酬+株主配当」の額を算出し、ランキングを作成した。その数字こそ、日本の企業トップの「本当の年収」なのだ。