堺雅人主演、豪華キャストによる名演技と、三谷幸喜の脚本で人気のNHK大河ドラマ『真田丸』。7、8月放送は、豊臣秀吉の死にゆくさまが見どころのひとつ。撮影を終えた秀吉役の小日向文世(62才)に、自らの役柄や共演者について語ってもらった。
――秀吉は有名な戦国武将で、いろんな俳優が演じています。小日向さんが影響を受けた秀吉像は誰?
小日向:ぼくの知ってる秀吉は、11才のときに見た、緒方拳さんが演じた『太閤記』(NHK)。あとは、映画『清州会議』で演じた大泉洋くん。意外に見てないんです。19年間劇団にて、その間はテレビをほとんど見ていないので、当たり役と言われた竹中直人さんの秀吉も見てないんですよね。逆に、見てなかったからよかったのかな、プレッシャーに押しつぶされず。
緒方拳さんが演じた死ぬ間際の秀吉が、ぼくの中では強く印象に最後に残ってただけ。あとはそれほど予備知識がなかったので、三谷さんが書いてきた秀吉像を想像しながら演じました。
――三谷さんの秀吉像とは?
小日向:えっ、こんな極端に? と驚くほど、喜怒哀楽がはっきりしている。それに子供のような無邪気さ。その無邪気な部分から、一気に怒り側に行く落差が、視聴者にはものすごく大きく感じたのかもしれないです。
演じていて、ちょっと不安だったんですよ。大河ドラマで、こんなにはしゃいじゃっていいのかなって。でも15話で三谷さんに「イメージ通りです」と言われて、安心できました。
――15話のどの部分?
小日向:カルタのシーン。茶々と目配せをしあう立花権三に対して睨みつける、あそこを怖くしてくださいって言われました。寧(ねい・鈴木京香)に対して無邪気な秀吉、一方で恐ろしいくらい嫉妬で狂う秀吉。その間の、政治的な部分での冷静さもあって、その大きな3つを意識しました。
――寧と茶々(竹内結子)に対する、秀吉の思いはどうだったと思う?
小日向:最期を看取ってくれる寧は素敵だと思います。散々側室をいっぱい作って、娘みたいな茶々を側室にして、子供を作っちゃったのに。秀吉の子かわかりませんけどね(笑い)。だって、それまで10何人も側室がいて、寧とも子供ができなかったのに、何で急に、あやしいなと(笑い)。
秀吉は淋しかったんじゃないかな。どのくらい茶々が秀吉のためにしてくれたのか、想像しかないけど。でも、秀頼ができたということが何よりも嬉しかったって、寧もわかってくれてるんじゃないかな。最期は、寧と茶々という、性格が違うこの二人が、形とはいえ寄り添ってくれたというのは、嬉しかったんじゃないかな。
――鈴木さんと竹内さんに対する、小日向さんの思いは?