引く手あまたの人気女優となった波瑠(25才)。連続テレビ小説『あさが来た』(NHK)に主演、『世界一難しい恋』(日本テレビ系)でのヒロインに続き、12日にスタートした『ON 異常犯罪捜査官・藤堂比奈子』(フジテレビ系、22時~)では民放ドラマ初主演。昨年9月から3作連続、出ずっぱりの人気だ。そんな波瑠の魅力とは? テレビ解説者の木村隆志さんに聞いた。
『あさが来た』では、明るく好奇心旺盛なキャラクターで視聴者を魅了し、ラブコメの『世界一難しい恋』では、ちょっと変わった才女を好演。嵐の大野智が演じた性格に難ありの若手社長との軽妙な掛け合いも好評だった。明るいムードの前2作とは打って変わり、サスペンスの今作は、異常犯罪者たちと対峙する新人刑事という役どころ。一見明るいが、心に闇を抱えた複雑な役柄を演じる。
前作の『世界一難しい恋』に出演の傍ら、5月には内野聖陽とのふたり舞台にも出演し、各方面から引っ張りだこだ。特定の役のイメージがついておらず、どの役にも染まれるニュートラルさが波瑠の強み、と木村さんは語る。
「彼女自身の人柄がポジティブでもネガティブでもない。ガツガツしておらず、でも控えめでもない。おとなしくも活発でもない。素直すぎでも斜に構えてもいない…という中庸な雰囲気があります。実際に役に入れば、すっと役にハマる演技力もある。もともと備えていた女優としての資質と長い下積みで磨かれたものが今、開花したといえます」(以下、「」内同)
知名度と人気を高めた『あさが来た』以前から、ドラマファンの間ではその存在感や演技力は注目されていたが、2012年のドコモのCM出演でも話題に。男の子のようなショートカットの中性的な雰囲気も、同性から好かれる要因となっているようだ。
「サバサバした性格で媚びたところが全然ないので、美人なわりに女性に嫌われないんです。過剰なサービスがなく自然体で、無理して笑いを取ることはしませんがユーモアもある“ちょうどよさ”があります。ショートカットというのも、爽やかで同性から嫌われにくい要素ですね。フェミニンすぎないので『仕事ドラマ』にもイメージが合います。波瑠さんの凜とした佇まいは、着物が似合うだけでなく刑事役もピッタリです。
好感度が高いという言い方もありますが、嫌われる部分がないんですね。芸能人は、実はこっちの方が大事で、ものすごく好かれてもアンチは出ますから、結局、嫌われる要素が少ない人がずっと連ドラに出ていられます。波瑠さんは長い下積みを経て、主役を張っても調子に乗ったところもないですし、最近では、綾瀬はるかさん以来の好感度ではないでしょうか。これから国民的女優として、間違いなく大河ドラマの主演を張ると思います」
出演作が立て続けにヒットしているのも、朝ドラで視聴率の要となっている中高年層を味方にしているのは大きく、その上で、役に真摯に向き合う姿やガッツがにじみ出た「応援したくなる」演技も視聴者に支持されていると木村さんは分析する。