最近、何かと目にするドラマ『火花』のテレビCM。原作はご存じ、お笑いコンビ・ピース・又吉直樹(36)の芥川賞受賞作だ。
直木賞作家の西加奈子(39)が「泣いた」と告白し、辛口で知られる博多大吉(45)が「メチャクチャ面白い」と絶賛したドラマだが、実はネット配信でしか見られない。『火花』は、動画配信サービス「Netflix」が制作したオリジナルドラマだからだ。
ネット回線を利用した有料の動画配信サービスは、高速かつ大容量のネット回線の普及とともに急成長している。
そこで今回は、ネットでしか見られない珠玉のオリジナルドラマの数々を披露しよう。もともと、欧米の動画配信サービスでは、自社制作のオリジナルコンテンツが充実していたと解説するのは、ライターのよしひろまさみちさん。
「海外の動画配信サービスはハリウッド映画の監督・スタッフやスタジオを利用して、質の高いオリジナルドラマを次々と制作しています。予算が潤沢で表現の自由度も高いので、質の高い作品が出来上がるんです」
その風潮が日本にも届き、ネット配信のオリジナルドラマは増加の一途をたどる。その最中に登場した『火花』は、まさに「映画のような作品」だとよしひろさんは評する。
「映画のスタッフが集結して撮影した『火花』はまさに“530分の映画”です。テレビドラマと違い、ネットドラマはカット割が少なく、映画のようにカメラを長回しして演技をたっぷり見せられる。『火花』はアジア発信で初めて世界190か国に同時配信されましたが、海外からも、“昔の日本映画みたいに映像がキレイだ”と大好評でした。漫才という日本独自のネタも理解され、日本も欧米並のクオリティーがあるドラマを作れることを証明した。今後、どんな作品が出てくるか楽しみです」
フジテレビのドラマ『ラヴソング』『ガリレオ』のプロデューサーで、ネット配信の『ベイビーステップ』(Amazonプライム・ビデオ)も手がける鈴木吉弘さんがネットドラマとテレビドラマの違いを語る。
「視聴者が身近にいるテレビドラマは万人受けする作品を作ろうとするけど、ネットドラマは視聴者が遠いため、エッジの立った作品で新たな顧客を呼び込もうとします。しかもネットはスポンサーがいないため放送コードが緩く、自由度が高い。