術後は入院して2週間は膝を固定し、体重がかからないようにする。入院期間は1か月程度だ。移植した軟骨が生着していないので、膝に体重をかけると生着しないので、安静を保つことが求められる。退院後半年~1年かけて、ゆっくりリハビリを行なえば高い生着率が期待される。
「この治療の対象となるのは概ね45歳以下で、周囲の骨や軟骨に障害がない方です。周囲の軟骨が薄かったり、バサバサになっている場合は、移植しても生着が難しいという結果がでています。さらに術後安静が保てるかどうかを診て、治療できるかどうかを判断します」(月村センター長)
この治療は膝関節を対象に、2013年4月に保険承認され、外傷性軟骨欠損症のほか離断性骨軟骨炎にも適用された。治療には厚生労働省の使用認定が必要なので、実施できる医療機関は本年3月末現在、全国で218施設だ。そのうち4症例以上の実施は15施設で北里研究所病院は10症例を実施。自家培養軟骨移植術は整形外科の新しい再生治療として期待されている。
■取材・構成/岩城レイ子
※週刊ポスト2016年8月5日号