戦後、在日コリアンの子弟に民族教育を施す目的で設立された朝鮮学校。朝鮮戦争後、特に金日成による独裁体制が確立してからは「反日・反米・反韓」のスタンスに加え、「金一族礼賛」の傾向が顕著となった。金王朝3代目の今、どんな教育が行われているのか。脱北者を支援する情報サイト「アジアン・リポーターズ」の蒲生健二代表が報告する。
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「我が祖国を宇宙強国に輝かせ、世界がうらやましく思う誇りをもたせてくれた金正恩元帥様が恋しく、本当に恋しく、私は祖国にやってきました!」
涙ながらに感情を込めて絶叫する中学生と思しき男女これは毎年新年に平壌で行われる、日本の朝鮮学校の生徒たちによって組織された「在日朝鮮学生少年芸術団」のソルマジ(迎春)公演の一部です。朝鮮学校の生徒による本国での公演は30年にもわたって続いています。その舞台を見れば誰もが「これは在日ではなく北朝鮮の子たちでしょ?」と思うはず。それくらい、歌や踊りが“北朝鮮らしく”演出されている。
事実上、在日本朝鮮人総聯合会(朝鮮総連)が運営する朝鮮学校は日本全国に小、中、高、大学校など97か所あり、現在6千数百人程度が学んでいるとされます。そこで使われる教科書の全容は、2010年までほとんど表に出てきませんでした。2010年に作家の萩原遼氏が入手して日本語による完訳版を発表し、その中身が広く知られるようになりました。
教科書全体を通して、「日本の悪行」が徹底して書かれています。特に歴史の教科書では、日本の植民地支配や戦後の差別に焦点を当てて教えており、反帝国主義、反資本主義を掲げる極左教育で貫かれています。
例えば、中学2、3年生用の『朝鮮歴史』の記述を見ると、金一族を「将軍様」「元帥様」と持ち上げる一方で、第二次大戦の時代には「日帝」は「在日朝鮮人を牛馬や奴隷のように扱い」、「迫害」「弾圧」「略奪」し、「抹殺」「虐殺」したと、日本人への憎悪を煽るような、過剰な表現方法で書かれています。
これを読んだ、日本に住む在日3世、4世の児童・生徒たちは日本を嫌いになるに違いありません。脱北者の高政美さんは、「朝鮮学校の教育は、私が北朝鮮で受けた洗脳教育と同じ」と証言しています。これが「民族教育」だというのだから、開いた口がふさがりません。