7月13日、NHKは〈天皇陛下「生前退位」の意向示される〉と報じ、日本中に激震が走った。宮内庁は報道内容を否定したものの、NHKに抗議はしていない。
報道各社は「抗議がない」ことをもって、宮内庁がNHKの報道を“公認”したという判断をし、「生前退位の意向」と軒並み後追い報道をしたとみられるが、その見方は正しいのか。
元宮内庁職員で皇室ジャーナリストの山下晋司氏は「今回の報道の背景には、様々な思惑がある可能性がある」と前置きしていう。
「天皇陛下が生前退位なさるには皇室典範や関連法の改正が必要です。しかし、憲法4条で〈天皇は国政に関する権能を有しない〉と定められているので、法改正が必要な案件について、宮内庁が“陛下のご意向が示された”ということを公式に認めると、憲法違反の恐れがあります。
そうした状況の中で、宮内庁サイドが“公式には発表できないが、なんとかして陛下のお気持ちを伝えたい”と考え、NHKに報道させるかたちになった可能性はある。否定したのに抗議しない対応も“宮内庁側とNHKとの間で事前に話ができていたのでは”と勘ぐられても仕方ない経緯でしょう」
実際、この数か月間、宮内庁では、「生前退位」を巡って最高幹部が会合を重ねていたとみられている。
「5月頃から風岡典之・長官と山本信一郎・次長という庁内のトップ2に、皇族の身辺のお世話などを担当する侍従職の最高幹部である河相周夫・侍従長と高橋美佐男・侍従次長、それに皇室制度に詳しいOB1人を加えた5人が、定期的に集まって検討を重ねていたといわれています」(宮内庁関係者)
この“5人組”の会合については、関係者の間で「4+1」会合などと呼ばれていたと報じられている(毎日新聞、7月14日付夕刊)。