薬とほかの食品やサプリメントなどの“のみ合わせ”には注意が必要だ。
高血圧・脂質異常症・糖尿病・肥満――こういった生活習慣病は、男性のものと思われがちだが、女性でも40代以降になると患者の数は増加する。このうち、高血圧の患者によく処方されるのが、アンジオテンシン・受容体拮抗薬(ARB)と呼ばれる、血圧を下げる薬、降圧薬だ。
このARBは降圧薬の中でも新しく、ニューロタン、ブロプレス、オルメテック、ミカルディス、ディオバン、アジルバといった薬で知られており、収縮期血圧つまり“上の血圧”が140以上、拡張期血圧つまり“下の血圧”が90以上の患者に処方されることが多い。
このARBよりも長年使用されてきた降圧薬である利尿薬を使用すべきと批判的に指摘されているが、果たしてどちらをのむべきなのだろう。
東京女子医科大学東医療センター内科教授の渡辺尚彦さんは「どちらがいいということではなく、降圧薬は患者の症状や降圧目標によって使い分けるものです」と言う。
「比較的軽症の人に向いているのがARBです。以前は降圧効果が弱いという特徴がありましたが、最近はミカルディスをはじめ比較的早くよく効くものが発売されています。副作用はほとんどありません。
一方、利尿薬は尿の排出を促し、結果として血圧を安定させる薬。なかなか下がりにくい高血圧の人には有効な治療薬です。副作用としては、高尿酸血症を起こし、尿路結石や痛風を発症させることがあるので注意が必要です」
実際には、ARBと利尿薬を組み合わせた合剤が使われることも多いという。この2つ以外の降圧薬には、カルシウム拮抗薬もある。アムロジンやノルバスクがそれだ。渡辺さんは、まずこのタイプを処方するという。
「血管壁の筋肉細胞内へのカルシウムの流入を抑え、心臓の血管を広げてくれたり、不整脈を抑えたりする働きがあります。以前は、動悸や頭痛、顔の紅潮などの副作用がありましたが、有効成分の血中濃度を徐々に上げる薬の登場で、副作用はかなり減りました」
ただし、カルシウム拮抗薬にはある天敵がある。グレープフルーツだ。