女性セブンで連載中のコミック『悪いキス』(作:高口里純)。第2巻・3巻が電子書店で同時配信されることを記念して、期間限定で第1巻を丸ごと無料で試し読みできるサービスを実施中だ。そこで、すでにハマっている人も、これからハマりたい人も、最初から『悪いキス』のストーリーをおさらいしよう。
「夜羽って、なんでこんなにモテモテなんっすか? おれの好きな沙弥ちゃんと、早々にベッドインしてしまって、嫉妬の嵐なんですけど…」
これは、編集部の某スタッフ(40代・男性)の、嘘偽りのないボヤキ。確かに謎の医師・楊夜羽(ヤン・ヨハネ)は、キュレーターの須藤沙弥と会ったその日にホテルへ。大財閥の令嬢・龍王子思音(りゅうおうじ・もね)や、その姉で代議士の妻・水澤菖蒲(みずさわ・あやめ)までメロメロにしてしまうのだが…。(あ、ほかにもクリニックの看護師とチュー寸止めの場面もありました)
女性を虜にする言葉やしぐさは、普段の、患者さんにほんわか優しい笑顔を投げかける医師の顔からは想像できないほどだ。しかしそれは、龍王子家に巧みに取り入り、狡猾に罠を仕掛けようとするゆえになせるわざだ。なぜそこまで龍王子家にこだわるのか、それには彼が経験した“地獄”のような生い立ちが関係している。第2・3巻で明らかになる重要なシーンを追いながら、説明しよう。
◆出生の秘密
龍王子家といえば、病院やホテル、美術館などを手広く運営する、玉慈グループを率いる名家。夜羽──幼名・朝陽(あさひ)の母親である和子は、その玉慈グループ統括本部の受付嬢として働いていた。
和子は恋人と別れた直後、グループ総帥である龍王子陽一に見初められ、図らずも不倫関係となる。やがて妊娠するが、陽一からは自分の子かどうかもわからないと、中絶を強要されてしまう。
しかし、和子は会社を辞め、人知れず男児を産み育てた。男の子は「朝陽」と名付けられるが、これはかつて陽一が「本当は息子につけたかった」と語っていた名前だった。
そんなある日、龍王子家の使いが現れ「朝陽は龍王子家で育てる」と、強引に引き取られてしまう。途方に暮れる朝陽だったが、いい子にしていれば、いつかはまた母たちに会えると言われ、寂しさを押し殺して、龍王子家になじもうとしていた。成績は学年トップで品行方正、陽一にもかわいがられ、陽一の妻・蓉子も朝陽を受け入れようとするのだった。