授業の途中で、先生が「調べてわかったことはありますか?」と聞くと、一斉に手が挙がる。木の実・草の実の図鑑を使っていた女子児童は「私はまたたびについて調べました。またたびは、なぜ“またたび”というかというと、疲れた旅人がまたたびの実を食べたら元気になって、また旅ができるようになったそうです。そこから、またたびとなりました」と発表。
先生は「またたびという木について調べたんですね。先生もそのことは知りませんでした。またたびがどんな木なのか、みなさんAさんに聞いてくださいね」と言った。
次に男子児童が「アライグマについて調べました。アライグマはなぜ食べ物を洗うのかわかっていないそうです」。先生は「Bくんはどう思いますか?」と男子児童にさらに質問を続けていった。
先生が児童に問いかける形で行われるこういった授業スタイルは、他の学年でも同じように行われていた。東成瀬村教育委員会の鶴飼孝教育長が説明する。
「これは小中連携で行っているのですが、その日、何を学ぶのか、まず先生から“課題”を提示します。これは必ず黒板に書き、赤の色で囲みます。次にどういうことが予想されるのか子供から意見を聞きます。興味や疑問を持ってもらうためです。それらを実際の授業の中で検証していき、45分の授業の最後の10分はまとめとふり返りという形で、子供中心に行っています。一方的に教師が知識を教えていくのではなく、子供自らが考え、気づきや発見を重ねていくのです」
ひとりで考えた後はみんなで考える「共に学ぶ時間」。発表し合うことで、さまざまな意見があることに気づく。
もちろん、答えがわかる子供もいれば、わからない子供もいる。間違う子供がいても、失敗を認め、次の挑戦へつなげる。そうした日々の授業が思考力・判断力・表現力を高めているようだ。
※女性セブン2016年8月11日号