「言葉」はいつの時代も変化していくものである。しかし、突如として多くの人が、指摘されるがままに素直にその言葉を使い始めたら──ネットニュース編集者の中川淳一郎氏が、考察した。
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人間、誰しも過ちを指摘された場合、それが納得できるものであれば「ハハーッ、なるほどぉ……」と心を改めるものである。しかし、それを一斉に大勢がやりはじめたら──。今回の件は、多くの人からは「そんなことどうでもいいじゃん」と言われることではあるが、私は猛烈な違和感を覚えた。
それは「承知しました」という言葉の蔓延である。ここ10年ほど、ビジネスメールにおいて「同意」を示す場合は「了解しました」という言葉がまかり通っていた。しかし、昨年頃から潮目が変わる。途端に「承知しました」が主流になってきた。
この件についてはライターの菊池良氏が今年3月に〈「了解しました」より「承知しました」が適切とされる理由と、その普及過程について〉という記事をネットで執筆し、「承知しました」が2011年あたりから使われるようになったことや、なぜ「了解しました」が不適切なのかを様々な文献から紐解いた。簡単に言うと「尊敬の念が含まれていない」からなのだとか。つまり、目下の人間が目上の人間に使ってはいけないというのである。
この記事はSNSなどで大いにシェアされ、多くの人が「目から鱗」などと感銘を受け、以後、私の仕事をするIT系・編集系の分野では一斉に「承知しました」が使われるようになってきた。