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生活に支障をきたす「多汗症」 その治療法とは

 汗には気温が高い時に体温を下げる温熱性発汗と精神的な緊張にともない掌(てのひら)や足の裏などに大量に汗をかく精神性発汗の2種類あり、多汗症は主に精神性発汗に属する。

 多汗症は、生まれつきの体質だが人によっては掌の汗で書類が濡れる、大量の汗で足元に水たまりができるなど社会生活に支障をきたすこともあり、これが治療対象となる。

 原因は、交感神経の過敏な反応だ。脳の前頭前野(ぜんとうぜんや)という感情を司る場所に汗の神経回路の一部があり、交感神経の中枢から汗腺に汗を出す指令が伝えられる。多汗症は目や耳、皮膚などから入った情報に中枢が過敏に反応し、汗腺に汗を出す指令が出ることで起こる。NTT東日本関東病院ペインクリニック科の安部洋一郎部長に話を聞いた。

「昔は汗をかくことが当たり前で、誰も気にしませんでした。ところが快適なオフィスで働く人が圧倒的に多い現代では、汗と臭いに敏感です。多汗症は、環境の変化による社会的疾病ともいえます」

 多汗症は、汗がにじむ程度、常にべとべとしている、汗が滴る、といった3つに分類される。症状や日常生活への障害の程度で治療法を選択する。はじめは保存的治療として薬物療法と外用薬を実施する。胃潰瘍の治療薬が多汗症に用いられ、効果をあげている。20%塩化アルミニウムを皮膚に塗布する外用薬治療も発汗が減る。

 保険適用ではないが、掌や脇、足の裏に微弱の電気を通して一時的に発汗を止めるアメリカ製の治療器具ドライオニック治療もある。

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