スポーツ

角居勝彦調教師 勝てない馬を障害レースで走らせる狙い

障害で使う狙いは

 競馬の世界では3歳未勝利戦で勝てなかった場合、障害レースに活路を見出すという選択肢がある。しかし、これはけっして未勝利馬でも出走できるから、ということではない。数々の名馬を世に送り出した調教師・角居勝彦氏による週刊ポストでの連載「競馬はもっともっと面白い 感性の法則」から、勝てない馬を障害レースで走らせる理由についてお届けする。

 * * *
 馬を預かる身としては、適性の問題として平場や障害に向き不向きがあるのではないかと考えたくなる。平場がだめなら障害へ。そのテがあったか、というくらいのもので、昔はそういう傾向がありました。

 しかし、今はずいぶんと様子が違います。能力があることはわかっているのに勝てない馬を障害レースで走らせるのは、秘めた狙いがある。馬体に活を入れるためです。未勝利馬に限ったことではありません。

 勝てない理由は様々ですが、口向きが悪く、上手にペースコントロールができない馬がいます。がむしゃらに一本調子で走ってしまい、直線で力尽きて勝てない。道中で息を入れることを覚えさせなければ、同じようなレースを重ねるだけです。そんな馬には、障害レースが福音となる場合があるのです。

 障害の要諦はジャンプです。調教にダイナミックな上下運動が入る。障害を飛ぶときにブレーキをかける。それを何度か繰り返すうちに馬はペースコントロールを覚えます。結果、見違えるように開眼することがあります。飛越の適性を考えるというより、とりあえず障害をやらせてみようという判断です。

 実は、馬の障害適性を見極めるというのは、容易なことではありません。ウチのように集団で調教する厩舎では、いっぺんに10頭も障害の馬場に連れて行って飛越を行なうのは難しい。だからなおさら感性が必要で、「勝ち悩んでいるこの馬には、障害が必要かもしれない」という判断が要ります。

関連キーワード

関連記事

トピックス

第一子となる長女が誕生した大谷翔平と真美子さん
第一子誕生の大谷翔平、広告出演オファー殺到でスポンサー収入200億円突破も ベビー関連・ファミリー関連企業から熱視線、争奪戦早くも開始か 
NEWSポストセブン
第一子出産に向け準備を進める真美子さん
【ベビー誕生の大谷翔平・真美子さんに大きな試練】出産後のドジャースは遠征だらけ「真美子さんが孤独を感じ、すれ違いになる懸念」指摘する声
女性セブン
金メダル級の演技(C)NHK連続テレビ小説「あんぱん」NHK総合 毎週月~土曜 午前8時~8時15分ほかにて放送中
朝ドラ『あんぱん』で“韋駄天おのぶ”を演じる今田美桜の俊足秘話 「元陸上部で中学校の運動会ではリレーの選手に」、ヒロイン選考オーディションでは「走りのテスト」も
週刊ポスト
『続・続・最後から二番目の恋』でW主演を務める中井貴一と小泉今日子
なぜ11年ぶり続編『続・続・最後から二番目の恋』は好発進できたのか 小泉今日子と中井貴一、月9ドラマ30年ぶりW主演の“因縁と信頼” 
NEWSポストセブン
(撮影/田中麻以)
【高市早苗氏独占インタビュー】今だから明かせる自民党総裁選挙の裏側「ある派閥では決選投票で『男に入れろ』という指令が出ていたと聞いた」
週刊ポスト
大谷と真美子さんの「冬のホーム」が観光地化の危機
《ベイビーが誕生した大谷翔平・真美子さんの“癒しの場所”が…》ハワイの25億円リゾート別荘が早くも“観光地化”する危機
NEWSポストセブン
戸郷翔征の不調の原因は?(時事通信フォト)
巨人・戸郷翔征がまさかの二軍落ち、大乱調の原因はどこにあるのか?「大瀬良式カットボール習得」「投球テンポの変化」の影響を指摘する声も
週刊ポスト
公然わいせつで摘発された大阪のストリップ「東洋ショー劇場」が営業再開(右・Instagramより)
《大阪万博・浄化作戦の裏で…》摘発されたストリップ「天満東洋ショー劇場」が“はいてないように見えるパンツ”で対策 地元は「ストリップは芸術。『劇場を守る会』結成」
NEWSポストセブン
なんだかんだ言って「透明感」がある女優たち
沢尻エリカ、安達祐実、鈴木保奈美、そして広末涼子…いろいろなことがあっても、なんだかんだ言って「透明感」がある女優たち
女性セブン
同僚に薬物を持ったとして元琉球放送アナウンサーの大坪彩織被告が逮捕された(時事通信フォト/HPより(現在は削除済み)
同僚アナに薬を盛った沖縄の大坪彩織元アナ(24)の“執念深い犯行” 地元メディア関係者が「“ちむひじるぅ(冷たい)”なん じゃないか」と呟いたワケ《傷害罪で起訴》
NEWSポストセブン
16日の早朝に処分保留で釈放された広末涼子
《逮捕に感謝の声も出る》広末涼子は看護師に“蹴り”などの暴力 いま医療現場で増えている「ペイハラ」の深刻実態「酒飲んで大暴れ」「治療費踏み倒し」も
NEWSポストセブン
中村七之助の熱愛が発覚
《結婚願望ナシの中村七之助がゴールイン》ナンバーワン元芸妓との入籍を決断した背景に“実母の終活”
NEWSポストセブン