4歳馬は、6月の開催替わりで、クラス分けの基準となる本賞金額が半額になり、多くの馬が下のクラスへと降級する。夏競馬で条件戦の馬券検討をする際のファクターとして重要なのがその降級馬の存在だ。数々の名馬を世に送り出した調教師・角居勝彦氏による週刊ポストでの連載「競馬はもっともっと面白い 感性の法則」から、降級馬についてお届けする。
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中央競馬の場合、一つ勝てばクラスが上がるので、レースごとにクラスの上がる馬が出る。時期が進めば進むほど上のクラスの馬が増えるわけです。一方で、レース編成は下級条件ほど多く組まれます。降級というシステムは、上級クラスの馬の数の調整という意味合いもあります。
一般的に、降級馬は強いといわれています。上のクラスで走っていただけに力が違うためです。しかしご承知のとおり、競馬はそう単純なものではありません。
降級制度は厩舎としても思惑があります。あるクラスで結果が出ない馬については、一度走らせてから休みを挟み、降級レースで使う。そうすると馬の育成のペースが作りやすいんですね。それまで休みが長かった馬も、同様の使い方をすることがあります。
そういった明確な意図がある場合はいいのですが、一度崩れてしまった馬は、いくら降級して相手の力が下がるからといってもすんなりと勝てるとは限りません。
レースで悪い負け方をした場合、調教も崩れていることが多い。そういう馬はクラスを下げても強く走れない。馬券検討のひとつとして、降級馬が、そこまでのレースで崩れていないかどうかを見極めることが大事です。
「クラス慣れ」という言葉があります。通常は昇級した上のクラスのペースや雰囲気に慣れる、という意味で使われますが、慣れることができない馬もいる。こういう馬は降級すると下のクラスの空気に同化してしまうことがあり、格上馬らしい強さを見せることができません。群れに順応する性質のせいか、馬はレベルが下がっても慣れてしまうことがあるのです。