放送作家でコラムニストの山田美保子氏が独自の視点で最新芸能ニュースを深掘りする連載「芸能耳年増」。今回は、10月スタートの日テレドラマに注目。
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雑誌編集部を舞台にしたドラマというと、直近では16年4月期、黒木華主演の『重版出来!』(TBS系)を浮かべる人が多いのではないか。
『月刊!スピリッツ』(小学館刊)に連載中のコミックが原作で、14年には『日本経済新聞「仕事マンガランキング」』で第1位に。
新人女性編集者と編集部員や営業担当、そして連載をもつ人気漫画家たちの悲喜こもごもを細やかに描いた作品は、部内や設定を忠実に描くため、小学館が撮影協力したり、講談社、KADOKAWAの実在雑誌が登場したりしたため、リアリティがさらに増し、ドラマファンにはひじょうに評価が高かったのである。
視聴率はいまひとつだったものの、7月に発表された『第4回コンフィデンスアワード・ドラマ賞』の「作品賞」を受賞。一般視聴者とドラマに一家言もつプロ、双方から選ばれた。
「出版社」「女性」というと、2年前、沢尻エリカが完全復活するきっかけにもなった『ファースト・クラス』(フジテレビ系)も思い出される。
格付けし合う女たち=「マウンティング女子」を流行らせた同ドラマは、まず、14年4月期の「土ドラ」枠でオンエア。「これって『an・an』? それとも『25ans』?」と出版業界では“舞台”となっているのがどの女性誌の編集部なのかともちきりになったものだ。
同年10月期、水曜夜10時に昇格し、今度はファッションブランド会社を舞台にした『ファーストクラス』が始まったのだが、脚本家が男性に替わったのがいけなかったのか、「なんか違う」「『ファースト・クラス』のほうが面白かった」と女性視聴者にはいまひとつ評判がよろしくなかった。
それでも、フジサンケイグループの扶桑社のファッション誌『Numero TOKYO』のエディトリアル・ディレクター、軍地彩弓さんが監修していたことで、リアリティは抜群だった。
軍地さんと言えば、多くの人気月刊女性誌のファッションページ編集に携わり、数々のブームを巻き起こした立役者。特に『GLAMOROUS』の立ち上げや企画に関わった際には、「アラサー」「エイジレス」というコンセプトを持ち込んだことでも知られる。
エディターとしてだけでなく、ファッションイベントの企画プロデュースや『直撃LIVEグッディ』(フジテレビ系)や『あさイチ』(NHK)にはゲストコメンテーターとして出演している。複数のファッション編集部の内情やファッションにおける最新トレンドを知り尽くした人なのである。
そして、この10月、同じく出版社の内情を知り尽くした人気小説家、宮木あや子さん原作のシリーズ『校閲ガール』(KADOKAWA刊)がドラマ化される。石原さとみ主演の『地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子』(日本テレビ系)だ。