現在放送中の大河ドラマ『真田丸』は好評を博しているが、歴代最高の大河ドラマは何なのか? 時代劇研究家・春日太一氏とともに50年超の放送史を振り返り、名作を完全ランキング化した。春日氏が選んだベスト10の中から、6位~10位の作品を春日氏の寸評(「」内)とともに紹介しよう。
【6位『太平記』(1991年)】
主演/真田広之(足利尊氏)、原作/吉川英治、脚本/池端俊策・仲倉重郎
激動の南北朝時代を生きた室町幕府初代将軍・足利尊氏の活躍と苦悩を描く。大河初のふるさとコーナーが人気に。
「日本史上でも屈指の混沌とした時代が、情熱的に描かれている。歴史の端境期のどさくさに現れた英雄から悪党まで、野心を抱えた有象無象が歴史の表舞台に現れては消えていった。
役者たちもクセ者揃いで、鎌倉幕府の最高権力者として立ちはだかる長崎円喜役のフランキー堺、その陰で悲劇的な最期を遂げる片岡鶴太郎、尊氏に従いながら腹の底を見せない佐々木道誉役の陣内孝則と高師直役の柄本明……。
アクの強い面々に囲まれて、尊氏役の真田だけは爽やかに演じており、歴史の渦の中心たる存在に説得力を与えていた」
【7位『風と雲と虹と』(1976年)】
主演/加藤剛(平将門)、原作/海音寺潮五郎、脚本/福田善之
平将門と藤原純友、二人の男が繰り広げる夢と野望の物語。将門に影響を与えた二人の女性、貴子と良子も好演。第一回には海音寺潮五郎が登場し解説した。
「公家たちに虐げられてきた関東武士の想いを背負って反乱を起こす平将門を加藤剛が颯爽と演じる。
前半から、朝廷の威を借りてやりたい放題の親戚たちに立ち向かい、京都に出仕してからは公家たちの横暴に怒り──そんな毅然とした加藤の英雄ぶりがいかにも頼もしく、反乱へと向かっていくドラマを飽きることなく盛り上げていった。
一方で、取り巻く人間たちは敵味方ことごとく腹に一物があるため将門の孤高が際立ってもいて、最後の悲劇をどこか予兆させる哀しさがたえず漂っていた」