春競馬の終わりとともに、有力馬は北海道の牧場に放牧に出されることも多い。つかの間、北の大地でリフレッシュしたあとは、また激戦が続く。数々の名馬を世に送り出した調教師・角居勝彦氏による週刊ポストでの連載「競馬はもっともっと面白い 感性の法則」から、夏の札幌開催のハイライト・札幌記念を走らせる理由についてお届けする
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現在は札幌競馬開催の真っ最中。札幌の中心地にある高層ビルが間近に見え、その後ろに緑濃い山々が連なっているのが望めるなんとも素敵な競馬場です。2年前にリニューアルされてからは、家族で楽しめるようなエリアもあり、市民が短い夏を楽しんでいます。牧場関係者の来場も多く、海の見える函館競馬場とならんで私の大好きな競馬場です。日によっては新潟や小倉より来場者が多いこともあり、6週だけの開催は、なんとなく残念な気がします。
札幌開催のハイライト、8月21日に行なわれる札幌記念は秋につながる重要なGIIレースです。前哨戦も函館記念、札幌のクイーンSというケースが多く、使い勝手の良さもあって各陣営の目標になります。
同じ距離ということで新潟記念と比較されることも多いようですが、北海道の牧場に出されていた馬にとって、新潟へは一度栗東トレセンに戻して送ることになります。長距離輸送が2回入るストレスを思うと新潟よりは札幌です。
角居厩舎は、夏場あまり他の重賞は使いませんが、札幌記念だけは別格という思いがあります。
まず馬場がいい。ターフは札幌と函館のみが洋芝(他の競馬場は野芝)です。洋芝は葉丈が長くて踏まれ弱いものの、野芝よりも深いターフでクッション性に富みます。それが馬の脚の負担になるとする向きもあるようですが、私はあまり気にしません。
札幌の芝コースはほとんど高低差がなく、力どおりの競馬が期待できます。凱旋門賞へのステップとなる場合も多いようですが、秋の天皇賞の前の一走りという意味合いもあります。札幌記念出走後も牧場に残ってじっくりとステップアップさせる。そんな使い方もできます。