甲子園には届かなかったが強すぎる個性で地方大会を沸かせた「常識破り」の球児たちがいる。山形県予選で「ノーテイクバック投法」で打者を翻弄したのが、庄司海斗投手(日本大学山形高校3年=県予選準々決勝敗退)だ。
1年春からベンチ入りした左腕エース。秋に調子を落とし悩んだが、荒木準也監督と相談しながら、2年の冬にたどり着いたのが「ノーテイクバック投法」だった。
ヒントは「投手と内野手との連係プレー」だった。庄司投手が振り返る。
「クイックモーションで投げた方が、球速が増してキレのある球が投げられました」
元々は大きなテイクバックの投球フォームだったが、この投げ方にしてから打者から手元が見にくくなり、三振がとれるようになった。練習試合ではノーテイクバック投法がさえ渡り、甲子園に出場した東北(宮城)や作新学院(栃木)から白星をもぎ取ったこともある。
憧れの甲子園には届かなかったが、「将来の目標は消防士」と頼もしい。
撮影■藤岡雅樹 取材・文■古内義明
※週刊ポスト2016年9月2日号