「逆一本足打法」に「あっち向いてホイ投法」……。この夏は常識にとらわれない高校球児たちがグラウンドを賑わせた。その中の一人が、打席での存在感抜群の「ヘリコプター打法」を見せてくれた馬越大地選手(滋賀学園高校3年=県予選準決勝敗退)だ。
打席でバットを振り回すこのフォームはどこから生まれたのか。
「きっかけは2年秋。長浜北星戦で楽に構えようと思ってバットを回したら、ホームランが打てたんです!」(馬越選手)
「ヘリコプター打法や!」。名付け親はチームメイト。「あの打法を始めてからバットが出やすくなり、ミート力が向上して、野球が楽しくなりました」という。
どこでバットを回すのを止めて、トップの位置を決めればいいか。冬の間、打撃投手の投げるボールをひたすら打つ練習でそれを体得した。
タイミングが取りやすく、トップの位置が決めやすくなった。センバツで一躍有名になり、練習試合でもバットを回し始めると大きな歓声が上がるようになったという。高校通算では24本塁打を記録。大学でもこの打法を続けるか訊ねると、「考え中です」と不敵な笑みを浮かべていた。
撮影■藤岡雅樹 取材・文■古内義明
※週刊ポスト2016年9月2日号