死んだ後、人はどこへゆくのか、人間にとって「あの世」は常に興味・関心の的であり続けている。生きている間に見ることのできない「あの世」について生々しく証言するのは、生死の境をさまよった経験を持つ臨死体験者だ。
芸能レポーターの前田忠明氏は1990年12月、自宅で激しい胸の痛みに襲われ、タクシーで救急外来に駆け込んだ途端に意識を失った。
「意識がなくなる瞬間は痛みはなく、頭が真っ白になって、体が宙に浮いたような感覚になりました。すると前の方に黒い大きな扉が現われたんです。その扉が開くと、金色の光が差してきました。私は扉のところで腰を下ろし、中を見ていました。白やピンク、薄い黄色など見たこともないような綺麗な花が一面に咲き、その中心を川が流れていました。
ふと上を見ると空は灰色の天井のようになっていて、そこに若くして心臓病で亡くなった5歳上の兄が現われたんです。兄は『こっちにおいで』と身振りで私を招きましたが、私が『まだそっちには行かない』と自分の中で決めると、緞帳が下りるように景色が消え、意識が戻りました」
前田氏はこの時、13分間にわたって心肺停止状態に陥り、意識不明は23時間も続いていたという。