視聴率好調が続くNHK大河ドラマ『真田丸』。家康と三成の対立などストーリーも見どころ満載だが、それ以外でもドラマを盛り上げたのが「脱ぐ」シーンを演じた山本耕史だ。大河ドラマで、にわかに注目を集めている「さらりと脱ぐ男」について、時代劇研究家でコラムニストのペリー荻野さんが解説する。
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大河ドラマ『真田丸』は、強烈天下人豊臣秀吉(小日向文世)亡き後の混乱期に突入。三谷脚本が得意とする、人間関係ごちゃごちゃドラマとなって目が離せない。しかし、その一方で、もう三成の水垢離(みずごり)シーンはないんだろうなあという声も聞こえる。
思い出せば、秀吉の子鶴松が重病になった際、豊臣ゆかりの加藤清正と福島正則が回復を祈り、井戸端で水垢離を開始。白装束で肩からザブンザブンとやっていると、そこに石田三成(山本耕史)が通りかかり、「お前も」と誘われたが、一度は断る。清正は「お前を誘ったのが間違いだった」と鼻から湯気を出していたが、その後、三成は上半身裸になって、ふたりの前に現れ、頭から冷水を浴び続けたのだった。
戦経験が乏しく、ひ弱なインドア派だと思われていた三成だが、山本耕史は結構なマッチョぶり。聞けば、このシーンのため、かなり「作ってきた」らしい。これだけではもったいないと判断されたのか、三成は秀吉危篤の際にも、再び水垢離。にわかに増えた「水垢離シーンファン」を喜ばせた。山本は意外にも「さらりと脱ぐ男」だったのである。
大河ドラマでさらりと脱いで大反響を呼んだ俳優といえば『八重の桜』の西島秀俊を思い出す。会津の道場で稽古をするシーン。改めて見直してみると、西島の稽古相手は上半身脱いでいるわけではないので、ここはやっぱり彼の見せ場だったんですな。西島を評した“細マッチョ”は流行語にもなった。