その稲田氏のタカ派姿勢に“異変”が起きた。これまでの歴史認識をめぐる稲田氏の発言に対し、中国・韓国から反感の声が上がっていることに「不徳の致すところ」と神妙な発言をしたうえ、8月15日にジブチの自衛隊視察の日程を組んで靖国参拝を回避。
「参拝して外交関係がこじれても、参拝断念でも稲田氏の経歴に傷がつくと考えた官邸が海外に逃がした」(自民党幹部)
周りの気遣いを受け、タカ派の信念を簡単に曲げるしなやかさを見せつけた稲田氏。“守ってあげよう”と思うファンがまた増えたかもしれない。
その稲田氏不在の隙間を縫うように8月15日に靖国神社を参拝したのが高市早苗・総務相。丸川氏をお供につれて、“私こそタカ派の女性議員代表”をアピールするような光景だった。しかし、その政治経歴から見るとタカ派のキャラクターに違和感がある。
高市氏は1993年の総選挙に無所属で当選すると、自民党離党組の政策集団「リベラルズ」に参加。出発点はリベラルなのだ。その後、新進党に所属して1996年の総選挙で再選を果たすと、約2か月後に離党して自民党に入党している。
タカ派と呼ばれるきっかけは、初入閣した第1次安倍内閣の少子化担当相時(2007年)、「みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会」の要請で靖国神社を参拝したことだとされる。稲田シンパの議員からは、「ともちん(稲田氏の愛称)は筋金入りだが、高市は“にわか右派”」といわれ、タカ派女性議員ナンバーワンの座を巡る頂上決戦を繰り広げている。
※週刊ポスト2016年9月2日号