韓国で“財閥ロッテ叩き”が広がっている。創業者の長男と次男の後継者争いをきっかけにしたマスコミ主導のロッテ糾弾に続き、今度は検察当局による資金疑惑捜査という政府介入に発展している。韓国財閥の不透明資金はどこでもみられるもの。今なぜロッテ叩きなのか。
検察による大々的な家宅捜索の後、すでに創業者の長女が不正資金捻出という横領、背任容疑で逮捕され、後継者で会長の次男(長男は日本在住)は出国禁止になっている。経営首脳への捜査は時間の問題で、財閥第5位のロッテ・グループは創業以来、最大の危機に直面している。
周知のように在日韓国人の辛格浩(日本名=重光武雄)氏が創業者のロッテ・グループは、元は日本資本だ。1960年代にチューインガムの会社を母国に作った後、70年代から本格的に韓国に進出。ホテルや百貨店を皮切りに流通や食品、建設、化学など大規模な企業グループに発展した。今や資産規模でサムスン、現代、SK、LGに次ぐ第5位の大財閥である。
しかしロッテの韓国進出は1970年代当時、経済建設に必死だった朴正熙大統領のたっての要請によるものだった。ロッテ・ホテルは韓国で最初の高級大型ホテルだったし、ロッテ百貨店は店員が客に頭を下げ、食堂街やイベント会場を備えた韓国で最初の明るく楽しい(日本風!)百貨店として、韓国の流通界に革命をもたらした。
韓国経済が「日本のお陰」で発達した生き証人のような企業だが、それが朴正熙の娘の朴槿恵政権下でひどい“イジメ”に遭っているのだ。創業者の辛格浩・総括会長は認知症状態とも伝えられるが、この母国での仕打ちには「恩知らず!」の思いだろう。
ところが朴槿恵政権の財閥叩きでは、先にやはり日本と深い歴史を持つ「POSCO(浦項製鉄)」が厳しい税務調査を受け、経営首脳が資金疑惑で逮捕、追及されている。