リオ五輪が終わって、再び連ドラを見ようという人も多いのではないだろうか。今クールは、視聴率的には低調な作品が多いが、話題作はけっこうある。中でも、イケメン俳優たちが意外な姿を見せている作品が目立つ。制作サイドによる「イケメン俳優イジリ」とも言うべきその演出の狙いについて、テレビ解説者の木村隆志さんが解説する。
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夏ドラマがいよいよ佳境を迎えようとしていますが、イケメンの主演俳優たちがかつてないほどイジられていることに、「アレッ?」と思った人は多いのではないでしょうか。
『せいせいするほど、愛してる』(TBS系)では、滝沢秀明さんが恥ずかしいセリフと脈絡のないエアギターを連発。『神の舌を持つ男』(TBS系)では、向井理さんが舌をペロペロしたり死体をなめたりする変人。『はじめまして、愛しています。』(テレビ朝日系)では、江口洋介さんがアラフィフの今、なぜか「あんちゃん」とほぼ同じキャラクターに。『遺産相続弁護士 柿崎真一』(日本テレビ系読売テレビ)では、三上博史さんがボサボヘアーで、金に汚く女グセの悪い、バツ2のダメ男を演じています。
もちろんすべて制作サイドの意図があり、これまでも変人やダメ男の主人公は多かったのですが、今回はもはや罰ゲームに近いレベル。持ち前のカッコよさは影を潜め、「笑わせる」よりも「笑われる」に近い印象すらあります。たとえば、滝沢さん本人も、視聴者も、「なぜエアギターが必要なの?」「このセリフはさすがにやりすぎでは?」「これってコントじゃないの?」と何度も思ったのではないでしょうか。
なぜここまでイジられているのか? その理由はそれぞれで考えられます。