放送作家でコラムニストの山田美保子氏が独自の視点で最新芸能ニュースを深掘りする連載「芸能耳年増」。今回は、高畑淳子の会見に見る、“現場”のルールについて語る。
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高畑淳子の会見で、一部マスコミが裕太容疑者の性癖について質問したことに批判の声があがっている。
記者会見の質疑応答では、司会者から「媒体」と「氏名」を名乗ってから質問するように言われるので、ネット上では質問者が既に特定されている。
その一人は、『直撃LIVE グッディ!』(フジテレビ系)のフィールドキャスター、大村正樹氏だ。会見における彼の暴走は、これまでにも当コラムで書いて来た。『とくダネ!』(同)の筆頭リポーターを経て、11年4月〜15年3月までは『U型テレビ』『U型ライブ』(北海道文化放送)でメインキャスターをつとめていた。
左遷ではない。ローカル局とはいえ、メインとして招かれた大村氏は「リポーターの成功者」とみなされていた。
が、同局の予算削減により番組が終了。また東京に戻ってきて、『グッディ!』の“フィールドキャスター”になったのである。
同局に長年レギュラーをもつ小倉智昭氏と同じ事務所。しかも、鹿児島放送の局アナ出身である。他のリポーターとは違うという彼のプライドと、なんとかしてまた全国に顔と名前を知らしめたいという強い思いがあったのかもしれない。現場のルール無視、主催者側の注意無視の言動を私も何度か目撃している。
もっとも覚えているのは、SMAPの中居正広が“初の単独囲み取材”に臨んだ際、亡くなったお父様のことや、その頃、闘病中だった俳優の今井雅之さんについて中居くんに質問。その後、一部現場に“出入り禁止”になった話は業界内では有名だ。
もう一方は『情報ライブ ミヤネ屋』の中山正敏リポーターだ。同番組では、猛暑リポーター、極寒リポーターとして有名だが、硬軟どちらもやれる実力派で、リオ五輪の開催後半、現地報告を任されてもいた。
“身内”を庇うわけでは決してないのだが、中山リポーターが大村氏に追随したようになったのは、恐らく現場で、「そこをもっと突っ込まなければ」という空気になり、順番的にまだ質問していなかった中山リポーターがそれを引き受けたのではないだろうかと思う。
私はテレビの生中継を見ていただけなのだが、そうしたリポーターらの言動より大きな違和感を抱いたのは、東宝の関係者と思しき司会者が何度も「テレビ以外の方で」と、紙媒体を気遣い、質問を募ったのに、スポーツ紙の記者さんたちがなかなか質問をしなかったことである。
スポーツ紙を読んでいると、たとえば昨今のSMAP報道などでは、さまざまな切り口で騒動を煽っているように私には見える。だが、カメラが回っているとき、スポーツ紙の記者さんたちはとにかく寡黙なのである。
どういうルールがあるのか私は知らないが、会見が終了してから、スポーツ紙の記者さんだけが降壇口に集まり、“声かけ”をしたり、広報担当や宣伝担当者を囲んで、別取材をしている場面をよく見かける。
なんか、ズルいと思う。
カメラが回っているときには、テレビのリポーターに任せるだけ任せて、聞きづらいことも全部リポーターに聞かせて、それを記事にしている…。もちろん、それだけではないのだろうけれど、それで一部リポーターの質問で大炎上していることを紙面で記事にするというのはどうなんだろう?