高校野球が幕を閉じ、リオ五輪も大団円を迎えた2016年夏。日本スポーツ界の関心は終盤戦に突入したペナントレースの行方に移ったが、白熱するプロ野球に華を添えるのが美女たちの「始球式」。
はち切れんばかりの胸の谷間を見せつけるグラビアアイドルや、スラリと伸びたナマ脚が眩しい人気女優から、普段目にすることのできない大女優のナマ姿まで、今や開幕戦だけのイベントではなくなった“セクシーワンマンショー”はいかにして生まれたのか。
「知事や市長など地元の代表や試合の協賛企業の関係者が来賓として行なうのが基本ですが、人気女優や売れているタレント、セクシーな女性にもお願いします。始球式は本来厳かで神聖なセレモニーですが、球団としてはマスコミが取り上げてくれるので話題性という点で大歓迎なんです」(元阪神タイガース球団社長・野崎勝義氏)
最近はテレビ番組や映画の宣伝で起用される女性タレントも多く、奇抜なコスチュームも話題だ。
「タレント側も球団と細かく打ち合わせて、胸や背中が大きく開いたり、長い脚を強調するショートパンツやヘソ出し、ミニスカートのユニフォームを特別に誂えたりします。壇蜜のようにスクール水着で登場する型破りもいますが、ミニスカートの上にユニフォームを羽織った方がセクシーだという声が出てきたりして、とにかく盛り上がる。
球団もタレントも、話題となることでお互いにメリットがあるし、『ヤクルトの山田哲人選手に直前の実技指導をしてもらいたい』なんていい出すタレント事務所もあります」(スポーツ紙デスク)
ちなみに、記録に残る世界最古の「始球式」は明治41年、日本で行なわれたアメリカの大リーグ選抜チームと早稲田大学野球部との対戦で、早大総長・大隈重信が投じた1球だった。
打席に入った早稲田の1番打者は、母校の総長に敬意を払い、大隈の大暴投を空振り。以降、始球式の投球は空振りするという慣例が定着、日本のみならずアメリカでも広まった。
かくのごとく厳粛かつ歴史あるイベント「始球式」に“異変”が起きたのは、1990年代に入ってから急増した「人気アイドルの登板」だった。