そして、もっとも大きなハードルといえるのが、他社との連携だ。今のところ各社とも自社製品やサービス内で完結させようとしているが、当然ながら家の中にはたくさんのメーカーの家電がある。それら機器同士の連携や互換性がなければ、かえって煩わしさは増すばかりだ。安蔵氏が続ける。
「学習リモコンひとつ取っても、いちいち個別機器のマニュアルを見て登録しなければ使えない現状を見ると、IoT機器同士の連携は普及への絶対条件といえます。
例えば、メーカーが提供しなくても、部屋の真ん中に小さな機器を置くと、瞬時に部屋の中にあるネットワーク家電一覧をリストアップし、それぞれの機器を繋ぐ設定をしてくれる仲立ちのようなミドルウェアが出てくれば便利になるでしょう。すでに、ロボット掃除機のルンバを販売するアイロボットは、そのような役割にも意欲を示しています。
日本のメーカーは自社製品同士でなければ繋げませんという排他的な囲い込みをしたがりますが、IoTの時代はそれでは未来がありません。いかに企業間でトレードオフの関係を築くことができるかがカギとなります」
先を争って独自技術を創出する前に、まずは各社が門戸を広げて本格的なIoT時代の「基盤」を整備する必要がある。さもなければ、日本経済を飛躍させる“第4次産業革命”のパラダイムシフトも、夢のまた夢で終わってしまうだろう。