治安維持法があった1928年に地下新聞として創刊された日本共産党の機関紙「しんぶん赤旗」(※当時はガリ版刷りの「赤旗(せっき)」)は、今も共産党の「資金力」「諜報力」「宣伝力」の源泉だ。しかも自民党の重鎮が登場することまである。元参議院議員の筆坂秀世氏と先般の都知事選では共産党と対峙した上杉隆氏が、赤旗の無謬主義の限界について語った。
上杉:その内容はかなりのご都合主義ですよ。筆坂さんが共産党にとっていくら良いことを言っても、紙面に載せないでしょう。逆に志位(和夫)さんが間違った発言をしても、絶対に批判しない。赤旗は基本的に発言の中身ではなく、誰が言ったかを問題にするんです。
筆坂:たしかに赤旗を読んでいると党の国会議員はみな素晴らしい人間に見えます。物事には様々な側面があるのに、党にとって都合のよいところだけをつまんでくる。それで「共産党はすべて正しい」と主張する。
上杉:無謬(むびゅう)主義ですね。
筆坂:その通り。共産党は絶対に間違えてはいけません。立身出世で共産党に入る人はいません。常に自己犠牲を強いられる党員をまとめるには、絶対的な正義の旗が必要であり、仮に幹部が間違ったら党員はやってられない。そうした無謬主義を支えるメディアとして赤旗の存在価値があるんです。外交にせよ、国内問題にせよ、私のいた時代は不破さんのやることなすこと礼賛していたから「不破(哲三)さんは現代のマルクスだ」なんて考える党員もいました。