「今季は休んでもよいという気持ちで構えています。(中略)彼にこれ以上苦しんでほしくありません」。羽生結弦(21才)が9月29日から始まるオータム・クラシック(カナダ・モントリオール)でいよいよ今シーズンの初戦を迎える。新プログラムのお披露目が待ち遠しい中、羽生が所属するANAスケート部監督の城田憲子さんが『フィギュアスケート日本代表2016メモリアル』(8月20日発行)でこう語り、ファン騒然の事態になっている。
「城田さんの発言にはスケート連盟関係者も驚きました。羽生は今そこまで窮地に立たされているのかと…。彼は拠点のトロントから8月中旬に帰国し、東京でCM撮影やテレビ出演をこなした後、実家の仙台に帰りました。9月中旬にはトロントに戻るので、地元で束の間の“夏休み”ですが、ケガの様子見という意味もあるようです」(スポーツ紙フィギュア担当記者)
羽生は昨年11月のNHK杯で世界歴代最高得点を塗り替え、続くGPファイナルでさらに記録を更新。しかし、左足の靭帯損傷が悪化し、今年3月の世界選手権は銀メダルに終わった。大会終了後に全治2か月と診断、リハビリ生活を送っていた。
手負いで迎える今シーズン。城田監督は《今シーズンはケガを可能な限り治すことを優先したい》(ムック本での城田監督の発言、以下《》内同)と明かす。
「8月末に『24時間テレビ』に出演し、熊本地震の被災者のためにアイスショーを披露しました。ところが、その直前まで本当にリンクに上がれるかどうか、微妙な状況でした。自身の東日本大震災の被災経験からショーを強行しましたが、ケガの不安は残り、9月末のオータムクラシックもまだ出場が危ぶまれています」(前出・担当記者)
しかし本人の意思は強く、開幕の準備は進んでいる。ケガから再生する“新プログラム”はほぼ完成。ショートはさらなる高みを目指し、全体的にグレードアップしているという。
《「昨シーズンは静かなピアノ曲だったから、今度はガラッと変えたほうがいいんじゃない?」という意見を取り入れて、ショートは衣裳も含めて面白いものになると思います。新しい彼が見られる作品になりそうです》
羽生は昨シーズン、世界最高得点を更新したGPファイナルのフリーで4回転サルコウと4回転トウループをノーミスで跳び、観客を大いに魅了した。今シーズンは新しい4回転が期待されるが、城田監督はあくまで慎重だ。
《4回転の種類については、いろいろな考え方があると思いますが、なんでもかんでも手を出すことには疑問を感じています。確実な4回転を2種類、3種類跳ぶように努力していくほうがいいと思います》
前出・担当記者が指摘する。