NHK地方局の契約女子アナが愛人バンクに登録していたことでも話題を呼んだ“パパ活”──。ひと昔前の言葉を借りれば「若い女性のパトロン探し」ということになるが、近年、パパ活に励む女性たちの目的は曖昧なところもある。
男女の恋愛問題に詳しく、近著に『人はなぜ不倫をするのか』(SB新書)があるライターの亀山早苗氏が、当世パパ活女子の生態に迫った。
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パパ活という言葉をちらほら聞くようになった。デートしたり、ときには一晩を一緒に過ごしたりすればお金をくれる……そんな「パパ」を求めている女性が増えているという。
「それって愛人になるということじゃないの?」と思う人も多いだろう。だがパパ活というように、男性に求められてそうなるというより、あくまでも女性側の視点で語られているところが肝である。
●性的な関係はないけれど
では実態はどうなのだろうか。
「うちはあまり裕福ではないから仕送りがほとんどないんです。だから少しでも生活費を稼ぎたい。でもアルバイトでは追いつかなくて」
そう言うのは、大学生のミカさん(21歳)。ごく普通のまじめそうな学生だ。1年ほど前、アルバイト先の社長から、「取引先との食事とお酒につきあってくれたら、特別手当として2万円払う」と言われたのがきっかけだった。
場を盛り上げ、カラオケでは歌って踊った。取引先がいたく喜んだということで、社長が3万円くれた。それ以降、社長は仕事でも、そしてプライベートでも彼女を呼び出すようになった。
「気づいたら、社長とふたりきりで食事ということが多くなっていた。帰り道などで求められれば手をつなぐことはあるけど、社長はそれ以上は要求しない。これって案外、いいバイトだと思ったんです。友だちに言わせれば『肉体関係をともなわない愛人みたいなもの』だと。ただ、それでお金がもらえるならむしろありがたいとさえ思っていました」
社長の友人と3人で食事に行ったこともある。そんなときは手当が増える。割りのいいバイトだと彼女は割り切っている。もしも社長が性的な関係を要求してきたら、そのときに考えると笑顔を見せた。「恋愛」とは異なっていても、彼女の中にも何かしらの「情」がわいてきているのかもしれない。
今の時代、女性は非正規で雇用されているケースが多い。契約や派遣でどんなにがんばって働いても、生活は潤わず、将来への不安は常につきまとう。
そんな状態で、“パパ”を求める女性がいても不思議はない。その昔、友人が「愛人バンク」に登録していて、「週一で彼がやってきて月に20万もらえる」と聞いたとき、それはそれで羨ましいと別の友人たちと話したものだ。
普通の「不倫」ときっちりお手当をもらっての「愛人」と何が違うのだろう。恋だの愛だのと精神論を振りかざすより、女性の生活のめんどうを見ようとするだけ男として潔いのではないか。もっといえば女性が生活をめんどうみてもらおうと考えた上での結婚だって似たようなものではないか。