豊臣秀吉が死去を機に、天下取りに乗り出していく徳川家康。天下分け目の関ヶ原の戦いが近づいてきた、NHK大河ドラマ『真田丸』で描かれるこの戦いでは、石田三成と大谷吉継(官名・刑部少輔)の友情も見どころのひとつ。大谷吉継役の片岡愛之助(44才)に、実際に訪れた関ヶ原や、歴女には見逃せない三成と吉継の撮影秘話まで、たっぷりと聞いた。
――演じている大谷吉継は、どういう人物?
愛之助:初めは覆面の人というイメージしかなかったんですけど(笑い)、男気のある忠義の人です。負けるとわかっている戦でも駆けつけますからね。そして物事を俯瞰的に、よく見極めている、すごく冷静で落ち着いた人物だと思います。
ただ、どう色付けをしていけばいいのか迷いました。大谷吉継の本を読んだのですが、他の人のことばっかり書いてあるんです。伝説的な事ばかりが残っていて、それも本当かどうか定かではない。読めば読むほど、どれが事実なのかわからなくなってきまして、これは台本を読むしかないなと思いました。
三谷さんの台本を読ませていただくと、非常にいい人なんです。堺(雅人)さんと前半話していたんですけど、いい人過ぎて怖いよねと(笑い)。その中にも、あの時代特有の冷酷さというのかな。物事を成し遂げるには仕方がないと、割り切っているところもあります。だから、容赦なく首を斬ることもする。
――歴史上の人物に取り組まれる時は、本を読むなどして調べる?
愛之助:実在の人物を務めさせていただく時には、どんな人間だったのか、ある程度入れます。でも一番大事なのは台本ですね。この脚本家は、この人物をどう描いているのか、どう見せたいのかが一番大事なので。
――三谷さんから、こう演じてほしいという要望は?
愛之助:「すごく素敵に、格好良く演じてください」というメールがありました。台本には格好いいシーンが全然ないから難しいな、なんて思いました(笑い)。「ぼくの刑部は正解なんですか?」と送ったら「大正解です」と返信がありましたよ。「関ヶ原の戦いで西陣に颯爽と吹く風のような男であってください」、と言われました。
――脚本家のイメージに合っているか、気になるもの?
愛之助:どういう思い入れで書いたのかは気になります。舞台の客席で芝居をご覧になるお客様は、賛否両論、色々な感想があるものですよね。だから軸は結局、脚本家の描いた人物像に近づいているのかになります。こう書いたつもりなのに全然やってくれない、となるといけませんからね。
――三谷さんはよく当て書きをされますが、役柄と本人は重なる?