スポーツ

角居勝彦調教師 休み明けの馬の気配を察知する方法語る

休み明けの馬の気配を察知するには?

 夏競馬が終わり、中山と阪神に競馬が戻ってくる。数々の名馬を世に送り出した調教師・角居勝彦氏による週刊ポストでの連載「競馬はもっともっと面白い 感性の法則」から、放牧明けの馬が多い時期、休養明けのパドックで注目すべきポイントを解説する。

 * * *
 秋競馬といっても、まだ残暑も厳しく、オープン馬は天皇賞、エリザベス女王杯、JCなど目標とするレースによって、時期をずらして入厩してきます。夏の名残りの中でじんわりと始まるといったところでしょうか。

 放牧明けの馬が多い時期ですが、大事なのは休み明けの所作。休み前に頑張れば頑張ったほど、休み明けがキーポイントになります。

 調教で絞りあげて競馬で強く走ることを「丸めて弾ける」と表現します。強い馬ほどそれを繰り返す。筋肉の収縮度合いが強まり、大きく跳べるようになる。しかし長期休養に入ると筋肉が緩んでしまい、休み明けに「丸められる」ことに大きなストレスを感じやすい。伸びた筋肉が丸まることを拒否する。調教が難しくなるんですね。

 もちろん放牧は馬体を休ませるためにあり、メンタル面でのリフレッシュ効果も無視できない。強い馬ほどその兼ね合いが難しい。放牧は諸刃の剣です。

 まだ開業して数年しかたっていない2004年2月に新馬勝ちしたインセンティブガイは、昇級戦でも好走、ニュージーランドTに格上挑戦(12着)させた効果もあって4歳1月にはオープン入り、降級後の夏には関屋記念で3着と実力の片鱗を見せてくれました。その後は人気になりながら勝ちきれませんでしたが、5歳1月に再度オープン入りし、続く東京新聞杯で3着、東風S1着、5月には京王杯SCで2着とようやく本格化したようでした。

 その勢いで6月の安田記念に挑戦、11番人気ながら6着と好走、さあ秋はGIだと期待が高まりました。

 しかし放牧を経た秋の京成杯オータムハンデでは、1番人気に推されたものの14着(!)。休み明けの調教で、うまく丸まらなかった。その後は雌伏の時期が長く続きます。

 骨格がしっかりとしていてバランスに歪みがない。調教のやり甲斐があり、丈夫でよく走る馬でしたが、これ以後27戦、勝利には恵まれませんでした。強い相手とばかり走ったこともありますが、放牧後の調教の難しさを痛感しました。

関連キーワード

トピックス

希代の名優として親しまれた西田敏行さん
《故郷・福島に埋葬してほしい》西田敏行さん、体に埋め込んでいた金属だらけだった遺骨 満身創痍でも堅忍して追求し続けた俳優業
女性セブン
佐々木朗希のメジャーでの活躍は待ち遠しいが……(時事通信フォト)
【ロッテファンの怒りに球団が回答】佐々木朗希のポスティング発表翌日の“自動課金”物議を醸す「ファンクラブ継続更新締め切り」騒動にどう答えるか
NEWSポストセブン
越前谷真将(まさよし)容疑者(49)
《“顔面ヘビタトゥー男”がコンビニ強盗》「割と優しい」「穏やかな人」近隣住民が明かした容疑者の素顔、朝の挨拶は「おあようございあす」
NEWSポストセブン
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
天皇陛下にとって百合子さまは大叔母にあたる(2024年11月、東京・港区。撮影/JMPA)
三笠宮妃百合子さまのご逝去に心を痛められ…天皇皇后両陛下と愛子さまが三笠宮邸を弔問
女性セブン
胴回りにコルセットを巻いて病院に到着した豊川悦司(2024年11月中旬)
《鎮痛剤も効かないほど…》豊川悦司、腰痛悪化で極秘手術 現在は家族のもとでリハビリ生活「愛娘との時間を充実させたい」父親としての思いも
女性セブン
ストリップ界において老舗
【天満ストリップ摘発】「踊り子のことを大事にしてくれた」劇場で踊っていたストリッパーが語る評判 常連客は「大阪万博前のイジメじゃないか」
NEWSポストセブン
弔問を終え、三笠宮邸をあとにされる美智子さま(2024年11月)
《上皇さまと約束の地へ》美智子さま、寝たきり危機から奇跡の再起 胸中にあるのは38年前に成し遂げられなかった「韓国訪問」へのお気持ちか
女性セブン
野外で下着や胸を露出させる動画を投稿している女性(Xより)
《おっpいを出しちゃう女子大生現る》女性インフルエンサーの相次ぐ下着などの露出投稿、意外と難しい“公然わいせつ”の落とし穴
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
結婚を発表した高畑充希 と岡田将生
岡田将生&高畑充希の“猛烈スピード婚”の裏側 松坂桃李&戸田恵梨香を見て結婚願望が強くなった岡田「相手は仕事を理解してくれる同業者がいい」
女性セブン
注目集まる愛子さま着用のブローチ(時事通信フォト)
《愛子さま着用のブローチが完売》ミキモトのジュエリーに宿る「上皇后さまから受け継いだ伝統」
週刊ポスト