天下分け目の決戦、関ヶ原の戦いがたった50秒ほどで描かれたことで話題のNHK大河ドラマ『真田丸』。三谷幸喜の脚本に驚かされた視聴者も多いと思うが、意外な役者に注目しているのが時代劇研究家でコラムニストのペリー荻野さんだ。ペリーさんが、独特の視点で『真田丸』の関ヶ原を斬る!
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そんなわけで『真田丸』第36話「勝負」を見て、びっくり仰天した人も多かったはず。私もラストで「えっ」と驚いて口あんぐり状態であった。
なにしろ、この回は真田昌幸(草刈正雄)と信繁(堺雅人)が石田方、嫡男信幸(大泉洋)が徳川方につくと決め、涙をこらえて敵味方分裂を認め合った前回「犬伏」を受けた続きである。ついに「第二回上田合戦」勃発で兄弟激突!?という大変なストーリーだった。
結果的には兄弟は密かに連絡をとりあってきわどい戦いを展開、信幸を監視する徳川の視線を気にしつつ、なんとか乗り越えたのだが、昌幸と信繁が「徳川を追い払った」と歌え踊れの喜びの酒宴をしている最中、情勢を探っていた佐助(藤井隆)が戻ってくる。その報告によれば、なんと関ヶ原の戦いはすでに終わり、徳川方の大勝利!…何っ!? もう終わり!?
かくして信繁といっしょに口あんぐりになったのだが、思えば、『真田丸』は、有名な本能寺の変から、明智光秀が秀吉に討ち取られるまでもわずか数分ですませるという大胆な展開を見せていた。それを考えれば、これまであまり詳細を描かれなかった「第二次上田合戦」に力を入れて、結果をみんなが知っている「関ヶ原の戦い」があっさり完結するのもアリだったか…。恐るべき戦国ドラマである。
そんな中、私がものすごく気になるのは、関ヶ原の戦いで石田方につき、討ち死にした大谷吉継(片岡愛之助)…ではなく、吉継に影のように付き従っていた家臣・湯浅五助である。