前橋市内のホテルで40代の女性従業員に乱暴し、強姦致傷の容疑で群馬県警前橋署に逮捕された高畑裕太(23才)は9月9日、不起訴処分となり釈放された。被害者である40代女性・Aさんとは示談が成立したという。
逮捕直後は、「欲求を抑えられなかった」と罪を認めていたと報じられていた裕太だが、釈放後の弁護士コメントでは行為には「合意があった」とされているなど食い違いがある。
今回、裕太の弁護を担当するのは、「無罪請負人」の異名を持つ弘中惇一郎弁護士が率いる弁護士事務所だ。
弘中氏は、妻殺害から一転無罪になったロス疑惑事件や薬害エイズ問題などで被告の弁護を担当してきた辣腕である。
「今回の急転直下の不起訴処分の裏には、彼の力があったことは間違いありません。示談交渉をまとめつつ、示談が成立すれば裁判で有罪を証明するのは難しいということを水面下で検察サイドに上手に伝えていたから、示談とは関係のない強姦致傷でも不起訴を“勝ち取れた”のでしょう」(全国紙社会部記者)
また、裕太の弁護士コメントでは、示談したことを認めた上で、無罪を訴えている。これには首をひねる人も多いのではないだろうか。「示談」とは、民事上の紛争を裁判によらず当時者間で解決すること。簡単にいうと、“加害者が示談金を払うことで謝って、被害者に許してもらう”というものだ。
今回の事件では被害者は警察に「強姦された」と相談しているわけで、裕太サイドは“強姦を謝罪するためにお金を払ったに違いない”と多くの人が考えているが、実は違うようだ。九段下総合法律事務所代表の伊倉秀知弁護士が解説する。
「犯罪事実を認めた上で示談金を支払う示談もありますが、犯罪事実を認めずに示談金を支払うものもあります。“犯罪事実は認めないが遺憾の意を表明するためにお金を払う”というものです。被害者の中には、“犯罪を認めて謝らなければ許さない”という人もいれば、“示談金を払ってくれるのであれば、犯罪を認めなくてもいい”という人もいるということです」
今回の場合の示談は後者だと考えられるので、示談の後だとしても、裕太サイドは堂々と「無罪」を主張できるというわけだ。普通であれば不起訴になればそれでいいところだが、芸能人という職業柄、「強姦はしていない」というイメージの回復が必要だったから、わざわざコメントを出したのだろう。