ビジネス

日清食品 カップヌードル謎肉10倍で「バカを体現」

「謎肉」10倍増量!

 9月12日、日清食品が「カップヌードル45周年記念」として、具のダイスミンチ、通称「謎肉」を10倍増量した「カップヌードルビッグ “謎肉祭”肉盛りペッパーしょうゆ」を発売したところ、想定を上回る売れ行きで発売3日で出荷停止となってしまった。爆発的人気はなぜか。フリーライター・神田憲行氏が取材した。

 * * *
「謎肉」とは豚肉と野菜を味付けして四角くフリーズドライした肉のことで、正確には「味付豚ミンチ」、同社では「ダイスミンチ」という。だが一見してなんの肉かわからないため、ファンはネットで親しみを込めて「謎肉」と呼んでいる。その10倍増量とは、面白い企画だ。

 私は発売翌日の13日にコンビニエンスストアでこの商品を買い求め、日清ホールディングス広報部に取材の電話を掛けた。すると、「あーその件ですか……」と意外に口が重い。いったいどうしたのだろう。

「いや取材をしていただけるのは大変有り難いのですが、実は販売してすぐ大変な人気でして、お店によっては入手しづらいところも出ていてご迷惑をおかけしているんですよ。それでまた取り上げていただくと、ますますお客様のもとに届かなくなるんじゃないかという懸念がありまして……」

 なんとか取材には応じて貰えたものの、いまにして思うとその懸念は現実のものになってしまったわけだ。15日の毎日新聞の記事によると、一般的なカップヌードルの販売ペースなら1カ月半は持つ在庫を用意していたのだという。1カ月半が3日で終わり……。10月下旬の販売再開を目指すともあるが、凄まじい売れ行きである。

 それにしてもなぜ「謎肉」の増量という企画を思い付いたのだろう。

「ダイスミンチ(謎肉)は、もともと当社の調査よるとカップヌードルの具材としていちばん人気がありました。一時期、ダイスミンチをやめてチャーシュータイプの『コロチャー』という肉に変更したことがあったんですが、お客様からのダイスミンチ復活の要望が高く、現在はダイスミンチとコロチャーの2種類を入れているぐらいです」(日清ホールディングス広報部、以下同じ)

──「謎肉」というネットスラング的な言葉を逆手にとって、企業側から使ったのもユニークです。

「そうですね。ネットで『謎肉』と呼ばれていることは当社でも把握しておりまして、ネーミングの話題性を狙ったところです」

──カップヌードル45周年の企画として、たとえば新しい味の発売という選択肢もあり得たなかで、そうではなく、「謎肉10倍」というオモシロ企画になったのはなぜですか。

「そこなんですが、いま弊社はビートたけしさんをメインキャラクターに据えて『バカをやろう』というメッセージCMを送っています。ちょっと意図しない点で話題になったときがあったんですが(笑)。それで弊社としての『バカ』をやるとはどういうことなのかと考えたときに、『謎肉10倍』という企画にたどり着いたのです。お利口さんにならないための、バカを体現した振り切った商品です」

 この広報担当者の回答にちょっと感動した。大きな会社の広報が、なかなか「バカを体現」とはいわない。

関連キーワード

関連記事

トピックス

歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
胴回りにコルセットを巻いて病院に到着した豊川悦司(2024年11月中旬)
《鎮痛剤も効かないほど…》豊川悦司、腰痛悪化で極秘手術 現在は家族のもとでリハビリ生活「愛娘との時間を充実させたい」父親としての思いも
女性セブン
紅白初出場のNumber_i
Number_iが紅白出場「去年は見る側だったので」記者会見で見せた笑顔 “経験者”として現場を盛り上げる
女性セブン
弔問を終え、三笠宮邸をあとにされる美智子さま(2024年11月)
《上皇さまと約束の地へ》美智子さま、寝たきり危機から奇跡の再起 胸中にあるのは38年前に成し遂げられなかった「韓国訪問」へのお気持ちか
女性セブン
大村崑氏
九州場所を連日観戦の93歳・大村崑さん「溜席のSNS注目度」「女性客の多さ」に驚きを告白 盛り上がる館内の“若貴ブーム”の頃との違いを分析
NEWSポストセブン
野外で下着や胸を露出させる動画を投稿している女性(Xより)
《おっpいを出しちゃう女子大生現る》女性インフルエンサーの相次ぐ下着などの露出投稿、意外と難しい“公然わいせつ”の落とし穴
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
結婚を発表した高畑充希 と岡田将生
岡田将生&高畑充希の“猛烈スピード婚”の裏側 松坂桃李&戸田恵梨香を見て結婚願望が強くなった岡田「相手は仕事を理解してくれる同業者がいい」
女性セブン
電撃退団が大きな話題を呼んだ畠山氏。再びSNSで大きな話題に(時事通信社)
《大量の本人グッズをメルカリ出品疑惑》ヤクルト電撃退団の畠山和洋氏に「真相」を直撃「出てますよね、僕じゃないです」なかには中村悠平や内川聖一のサイン入りバットも…
NEWSポストセブン
注目集まる愛子さま着用のブローチ(時事通信フォト)
《愛子さま着用のブローチが完売》ミキモトのジュエリーに宿る「上皇后さまから受け継いだ伝統」
週刊ポスト
イギリス人女性はめげずにキャンペーンを続けている(SNSより)
《100人以上の大学生と寝た》「タダで行為できます」過激投稿のイギリス人女性(25)、今度はフィジーに入国するも強制送還へ 同国・副首相が声明を出す事態に発展
NEWSポストセブン
連日大盛況の九州場所。土俵周りで花を添える観客にも注目が(写真・JMPA)
九州場所「溜席の着物美人」とともに15日間皆勤の「ワンピース女性」 本人が明かす力士の浴衣地で洋服をつくる理由「同じものは一場所で二度着ることはない」
NEWSポストセブン