街の環境や治安、施設面の不備などが懸念されていたブラジル・リオデジャネイロ五輪も無事に閉幕し、いよいよ4年後の東京開催に向けて着々と準備が進められていくことになる。そんな中、早くも議論の対象になっているのが、東京の「たばこ対策」である。
2004年のアテネ大会以降、オリンピックは原則、屋内をすべて禁煙とする条例や法律を持つ国での開催が潮流となってきた。
日本では一部の自治体を除き、公共施設以外に禁煙の義務付けはないが、五輪を機に東京での「屋内全面禁煙」を罰則付きの条例で決めてしまい、たばこ規制自体を強めていこうとする声もあるのだ。
しかし、受動喫煙防止の意識も高まり、すでに東京都内は公共施設のみならず、飲食店やホテルなどでも分煙化が進み、喫煙者と非喫煙者の共存は出来つつある。そのうえ、屋外での喫煙マナーも次第に良くなっている。
2014年10月から計6回行われてきた「東京都受動喫煙防止対策検討会」でも、受動喫煙防止の取り組みは必要との共通認識は見られたものの、
「東京は喫煙マナーが優れており、たばこを吸わない人とも共存できている。オリンピックはこの独特の東京スタイルを世界に発信できるチャンスではないか」
との意見も出て、条例制定の提言を見送った経緯がある。
禁煙推進派は、〈IOC(国際オリンピック委員会)やWHO(世界保健機関)が“たばこのないオリンピック”を掲げており、東京だけその常識に沿わないのは世界的にみても恥ずかしい〉との主張を繰り返すが、2008年の北京、2014年のソチ(冬季)の開催時は、飲食店までは厳しい禁煙の対象になっていなかった。
また、屋外の喫煙が規制されているのは日本のみだが、そういった不都合な事実には触れていない。