“韓流”の火付け役として知られるドラマ『冬のソナタ』。そのブームに乗って、かつて各テレビ局で連日、数多くの韓国ドラマが放送された。だが、人気作品の中に、日本や日本人を揶揄するセリフやシーンが盛り込まれていたことに気付き、意識していた韓流ファンはどれだけいただろうか。
韓国ドラマの著書がある海外ドラマジャーナリストの村上淳子氏が指摘する。
「たとえば、『明日に向かってハイキック』(日本放送は2011年。以下同)というコメディでは、いつも義父に蔑まれるダメな婿・ボソクが、顔だけイケメンなので取引先の日本企業の女性たちから『ステキ~、ボ様!』とちやほやされる場面がある。日本の“ヨン様ブーム”を揶揄しているのです。
財閥の御曹司が主人公の『パリの恋人』(2005年)では、提携する日本企業のサラリーマン2人が、韓国の女性と遊ぶのが目当てで出張してきた“おバカ”として描かれている。韓国特殊部隊を描いた『アイリス』(2010年)では、白竜演じる日本人テロリストが第1話から追跡され殺されますし、そのほか登場する日本人はほとんど愚鈍に描かれています」
日本人は悪役として登場するのが定番で、典型的なのがヤクザだ。
『オールイン』(2004年)でヒロインに求婚するのが日本人ヤクザだし、『ミス・リプリー』(2014年)でヒロインを追い詰める元情夫も韓国人が演じる日本人ヤクザだ。
悪役まではいかなくても、日本人はなぜか“嫌な奴”として描かれる。別の韓国ドラマ通の評論家が語る。