で、先ほど横に置いておいた件に戻る。東京外国語大学の2学部、大阪大学外国語学部がトップ3になっている。それ以下を見ても、「外国語」「国際」がらみの大学・学部の留年率がとても高い。その理由は何か。
『大学の実力』は、〈海外に飛び立ち、学んだ結果、留年する学生が急増しています。大学間の協定に基づく交換留学に加えて、私費留学や、海外で働きながら学ぶことを選ぶ学生が増えているためで、留学を後押ししている大学では、留年率が7割近くにも達していました〉と解説している。
また、それらの学部で留年をするケースの〈多くは就職活動と帰国時期が重なり、半端な時期から就職活動に参加するよりは留年し、次の年の就職戦線に臨みたいという学生だといいます〉ともある。
つまり、つまりグローバルな学生がドメスティックな新卒一括採用という制度にはじかれて、留年を余儀なくされているわけだ。大学生や大学はそれなりにグローバル化しているが、日本の企業の人事面がまだグローバルのグの字にも追いつけていない、ともいえよう。
この本もそうだったが、多くの識者が、「だから、新卒一括採用なんて古い風習を捨て、通年採用に切りかえよ」と言う。私は、企業の採用活動の負担面や、いっせーのせで就活が始まらないと自分から動かないでずるずるしちゃう学生が実はすごく多い、という観点から、新卒一括廃止論には反対だ。
でも、学生たちは多様化してきているし、日本人はもっと多様であるべきである。だから、たとえばこうした留学で就活が困難になってしまう学生などをイメージして、体力のある大企業が採用の一部を通年化するなど、就活の複線化を推し進めるのが落としどころだと思う。
それにしても、東外大や阪大外国語、秋田の新星・国際教養大、上智大外国語といった難関大に入っても半分前後が留年というのは異常だ。ザ・グローバル大の立命館アジア太平洋大も、かなりの留年者を出している。そこには、この国の保守的体質がリアルに表れている。