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ビジネスホテル 「ワンランク上」のハイクラス型へ進化中

本格的なジムも(ホテルマイステイズ金沢)


 ハイクラスタイプの特色として、地方の小規模チェーンや独立系のホテルに魅力的な施設が多いことがいえる。特に西日本でその傾向が顕著だ。

 たとえば九州で展開するのが、ハイクラスの先駆けともいえる「ホテルフォルツァ」。デザイン性の高さ、客室の調度品のクオリティなどワンランク上のステイを提案し絶大な人気を誇る。大分・長崎・博多(筑紫口)にある店舗に加え、2017年2月に「博多駅博多口」が開業する。

 ローコストタイプでも西日本はクオリティが高い。山口・広島・博多に出店する「ホテルアクティブ!」や、山陰地方を中心に展開する「グリーンホテルモーリス」など、ローコストにして徹底した利用者目線の貫き、付加価値を提案する姿勢に驚く。いずれも多店舗展開では難しい特色あるサービスやコンセプトを打ち出し、スピーディーに現場へ落とし込む。顧客からの要望などを取り込むスピーディーさもピカイチだ。

 ホテル選びのポイントは、立地や客室、付帯サービスなど様々あろうが、朝食でホテル選びをする方も多いことだろう。

 ビジネスホテルでは、東横イン、スーパーホテルといったローコストタイプが、宿泊者全員に無料朝食を提供(宿泊料金に含まれている)、ハイクラスタイプが有料朝食という逆転現象が特色といえる。ハイクラスタイプともなれば、オムレツの実演、ご当地メニューや食材の多用などシティホテルと遜色ない内容という施設すらある。

 客室や設備、朝食などシティホテルとビジネスホテルのクロスオーバーという現況を解説したが、ビジネスホテルとシティホテルで圧倒的な差異が「フルサービス」と「リミテッドサービス」だ。ドアマンやベルボーイ、コンシェルジュなど痒いところまで手が届くフルサービスと、基本的にはフロントのみで可能なサービス提供というリミテッドサービスは、受けるサービスで両者の違いを感じる瞬間だ。

 時間に追われた出張族にとって、手取り足取りのフルサービスは必要ないというゲストも多いことだろう。機能性重視のローコストもアリだが、時には客室や設備などシティホテルのデラックス感はほしいこともある。そんなリミテッドサービスのスピーディーさとデラックス感のいいとこ取りは、ハイクラスタイプが支持される一因であろう。

●文/瀧澤信秋(ホテル評論家)

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