芸能

火野正平 演技への意欲を失いかけた時に訪れた転機を語る

自転車旅で新たな魅力をみせる火野正平

 少し嗄れた声で、とつとつと手紙を読み上げる火野正平(67)。この日火野は、都内で開かれた朗読公演『天国のあなたへ、つたえたい心の手紙』で読み手を演じていた。全国から寄せられた亡き人への手紙を島崎和歌子とともに読み聞かせるイベントだ。

 60代を迎えてからというもの、火野はひっぱりだこだ。女性たちからの評判もすこぶるいい。曰く、渋くなってきた、妙味が出てきた、その飾らなさがいい──。およそ40年前、スキャンダルにまみれ、「女性の敵」と揶揄された俳優は、充実した人生を積み上げ続けている。

 ひとつの転機となったのは、2011年春から始まったNHK BSプレミアムの『にっぽん縦断 こころ旅』だ。視聴者から寄せられた手紙とともに、日本各地を自転車で旅するドキュメンタリー。目的地に着いた火野が、景色や人との思い出を記したエピソードを読み上げるという番組である。

 NHKから出演依頼がきたのは、火野がちょうど演技への意欲を失いかけている時期だった。

「昔は、みんなが一丸となってつくるドラマの現場が楽しかったんだけど、いまは時間に追われてそれがなくなった。たぶん、撮影がフィルムからVTRになりだした頃からなんか違うんちゃうとなってきた。トレンディドラマにしても、嘘つけ、そんなマンションに住んでへんわ、そんな綺麗ごと違うやろ、と。だからドラマも観なくなったし、出たくもない、麻雀やってたほうが面白いわ、なんて思ってたんです」

 そんなときに、「こころ旅」のオファーが来たのだ。

「最初、こんな仕事、俺にできるのかなと思ったけど、どうしてどうして、現場はすごく楽しい。俺が楽しくやってるから観てても楽しいんじゃないの? この番組で俺自身も変わった。人にものを聞くのが平気になった。メシを食いに食堂に入っていくときだって、『すみません、NHKですけど、カメラを回してよろしいですか?』って自分で頼んで苦痛なく入っていけるようになったしね」

 すでに、のべ560日以上にわたって全国1万565kmを自転車で走破してきた。そんな火野には各地で人々が気軽に声をかけてくる。

関連記事

トピックス

紅白初出場のNumber_i
Number_iが紅白出場「去年は見る側だったので」記者会見で見せた笑顔 “経験者”として現場を盛り上げる
女性セブン
ストリップ界において老舗
【天満ストリップ摘発】「踊り子のことを大事にしてくれた」劇場で踊っていたストリッパーが語る評判 常連客は「大阪万博前のイジメじゃないか」
NEWSポストセブン
大村崑氏
九州場所を連日観戦の93歳・大村崑さん「溜席のSNS注目度」「女性客の多さ」に驚きを告白 盛り上がる館内の“若貴ブーム”の頃との違いを分析
NEWSポストセブン
弔問を終え、三笠宮邸をあとにされる美智子さま(2024年11月)
《上皇さまと約束の地へ》美智子さま、寝たきり危機から奇跡の再起 胸中にあるのは38年前に成し遂げられなかった「韓国訪問」へのお気持ちか
女性セブン
佐々木朗希のメジャー挑戦を球界OBはどう見るか(時事通信フォト)
《これでいいのか?》佐々木朗希のメジャー挑戦「モヤモヤが残る」「いないほうがチームにプラス」「腰掛けの見本」…球界OBたちの手厳しい本音
週刊ポスト
野外で下着や胸を露出させる動画を投稿している女性(Xより)
《おっpいを出しちゃう女子大生現る》女性インフルエンサーの相次ぐ下着などの露出投稿、意外と難しい“公然わいせつ”の落とし穴
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
結婚を発表した高畑充希 と岡田将生
岡田将生&高畑充希の“猛烈スピード婚”の裏側 松坂桃李&戸田恵梨香を見て結婚願望が強くなった岡田「相手は仕事を理解してくれる同業者がいい」
女性セブン
電撃退団が大きな話題を呼んだ畠山氏。再びSNSで大きな話題に(時事通信社)
《大量の本人グッズをメルカリ出品疑惑》ヤクルト電撃退団の畠山和洋氏に「真相」を直撃「出てますよね、僕じゃないです」なかには中村悠平や内川聖一のサイン入りバットも…
NEWSポストセブン
注目集まる愛子さま着用のブローチ(時事通信フォト)
《愛子さま着用のブローチが完売》ミキモトのジュエリーに宿る「上皇后さまから受け継いだ伝統」
週刊ポスト
連日大盛況の九州場所。土俵周りで花を添える観客にも注目が(写真・JMPA)
九州場所「溜席の着物美人」とともに15日間皆勤の「ワンピース女性」 本人が明かす力士の浴衣地で洋服をつくる理由「同じものは一場所で二度着ることはない」
NEWSポストセブン
イギリス人女性はめげずにキャンペーンを続けている(SNSより)
《100人以上の大学生と寝た》「タダで行為できます」過激投稿のイギリス人女性(25)、今度はフィジーに入国するも強制送還へ 同国・副首相が声明を出す事態に発展
NEWSポストセブン