クライマックまであと2か月。ますます盛り上がりを見せるNHK大河ドラマ『真田丸』。天下分け目の戦いの中、徳川家康(内野聖陽)の舵取りをする独特の存在感を放つのが、家康の側室である阿茶局だ。大坂冬の陣では、徳川家を代表して豊臣家と交渉にあたる山場を控える阿茶局役の斉藤由貴(50才)が、戦国時代の女性の矜持や、役者たちの撮影裏話を語った。
――阿茶局はどういう女性?
斉藤:家康には旭姫という正妻がいるので、実質的には側室ですが、家康に一貫して寵愛を受けた聡明な女性です。だけど私の捉え方はとてもシンプルで、武将である以前に、ひとりの男として徳川家康という男に惚れて、この男のために全身全霊をもって尽くす、ということを決心している女性だと思っています。
――家康のどこに惚れている?
斉藤:家康は小心者だし、小狡くて二枚舌的なところがあるにも関わらず、いざという時の行動力がすごいんですよね。いざやるとなった時、情勢をものにする強運みたいなものを、阿茶は感じているのかもしれないです。
自分の愛する男に、天下人となって世を統べて欲しい。寧もそうだったろうし、トップの武将に仕える女であれば、誰もが考えることだと思います。だけど、最近はちょっと違う見方もしているんです。
家康の小狡さみたいなものを知っていて、この人はどうかな、という気持ちも多少はある。それでも自分の男には天下を取ってほしいという、女のエゴを通しているところもあるのかなって、思ったりもします。
――この時代の女性のプライドを、斉藤さんはどう考えていますか?
斉藤:戦国時代で、実戦にまみれるのは男性なわけですから、女性は圧倒的に立場が低い時代ですよね。その制約があるなかで、いかにして自分の考えを表現していくかというのは、知恵の絞りどころだと思うんです。
今の時代は“男女平等”が死語になりつつあるくらい、女性も権利があって自由になってきました。でも、自由さゆえ見えなくなっている部分、頭を使わなくなっている部分がある気がするんです。
女性は表舞台に立つことはなかったにせよ、この戦国時代の制約があるなかで、女性の創意工夫のようなもの、本当の意味での才覚みたいなものが、試された時代なのかなと思います。
――収録合間の雰囲気はどうですか?