では今後、50ccの原付バイクは日本から消滅してしまうのだろうか。
「まだ地方に行けば、クルマを持っていない女性や高齢者などが足代わりに原付バイクに乗っている光景をよく見かけます。そうした人たちの生活を維持させるためにも、メーカーは原付ビジネスを細々ながら続けていく責務があると思います。
仮に排気量を大きくした原付規格や免許制度にする案が持ち上がっても、『大きくスピードの出るバイクは危険』と、また安全性に疑問を持つ国民世論が高まる可能性は高いので、そう簡単に変えられることではありません」(井元氏)
萎みゆく原付市場でなんとか活路を見いだそうと、メーカーも充電式の電動スクーターを発売するなどしているが、売れ行きはいまいち伸びない。
「電動化に伴うコストがかかり過ぎて価格が高いうえに、長い充電時間、短い航続距離など改善すべき課題が山積しています。いっそのこと、電気が切れた緊急時のためにペダルをつけてみたらどうかとも思いますが、それでは完全に電動自転車ですからね」(井元氏)
いずれにせよ、原チャリは利便性や安全性も含め、その「存在価値」を抜本的に考え直す時代にきていることは確かだ。
●撮影/横溝敦