田中角栄・元首相の私設秘書を務めた後に政治家に転身、自治大臣などを務めた元民主党副代表の石井一氏(82)がロッキード事件の真相に迫った『冤罪 田中角栄とロッキード事件の真相』(産経新聞出版)を上梓した。なぜ今になってその封印を解いたのか。
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空前の田中角栄ブームで、逮捕から40年という節目でもある。その田中が、ロッキード事件に関して言い残していたことがあった。それは事件の真実が何なのかだ。それを今こそ、世間に問わねばならないと思ったわけです。
今から33年前、昭和58年の10月、一審判決の直前のタイミングでしたが、私は「政治家として考える」と題した非公開文書をまとめました。私が調べ、考えたロッキード事件の真実、つまり米国が仕掛けた冤罪であることをまとめたのです。
が、その当時は日本全体が田中角栄を批判していた。そんなものを私が出すと、叩かれるのは間違いない。その内容が事実であったとしても、揚げ足を取られて逆効果になる。そのように周囲に言われ、公表することは差し控えた文書です。
田中本人には見せました。田中はそれを読んで私に、「石井君、どうしてそんなことが分かるのか」とおっしゃってくれた。そしてその文書を常に枕元に置いて、手放さなかった。