「あなたはがんの疑いがあります」──告知されて、本人がショックを受けるのはもちろんのこと、家族も現実を受け入れるまで大きな苦しみが伴う。
タレントの梅宮アンナ(44才)はこの6月、父・辰夫(78才)が十二指腸乳頭部がんだと診断された。アンナはロケ先で、これから仕事というときに電話で知らされたと語る。
「ちょうどそのとき、泊まりがけの長いロケをやっていたんです。つらかった…。誰にも言えないし。仕事中は笑ってなきゃいけないし、全然違う話をしなきゃいけない。本当だったら、『みんな、聞いて!』って言いたいんだけど、言えない。この仕事、きついなぁって、改めて思った」
辰夫は40年前に1度、肺がんを患っている。親戚にもがんで亡くなった人が多いこともあり、家族は“もしもの時”のことを以前から考えていた。
「父はこの40年、ずっとがんと闘っているという意識でした。1回、死んでもおかしくないところから命をもらえているので、風邪を引いても『風邪くらい…』なんて言わずにきちんと病院に行ったり。1個1個をバカにせず生きてきたんです。ですから今回のがんに、さすがの父も愕然としてしまったんです」
今回は12時間という長い手術になるため、医師から「最悪の事態も想定しておいてください」と伝えられていた。
「もちろん、元気で退院できる可能性もあるけど、手術中にこのまま…ってことも考えないといけない。私は常に、最悪のことも考える性格なので、相続やお葬式のこととかも家族で話しましたね。話すしかなかった。父に、『私は自分でどうにかできるから、もしもの時に、ママと孫の百々果(ももか)が困らないようにしてね』って、伝えました。父は、遺言も書いていたと聞いています」(アンナ)
治療を受けている段階で、家を売るのか、家族にはどんな形でお金を残すのか──想像したくもないが、後で困らないように、考えなければいけないこともある。そして、アンナが精神的にいちばんつらかったのは、手術直後だった。