今夏、太平洋に浮かぶハワイ・オアフ島を中心に行われた世界最大規模の環太平洋合同軍事演習「リムパック2016」(6月30日~8月4日)。中国は5隻の艦船を派遣し、米軍に次ぐ規模での参加となったが、その振る舞いはとても“大国”とは思えないものだった。現場を取材した軍事フォトジャーナリストの菊池雅之氏が報告する。
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今夏行われた米軍主催の環太平洋合同軍事演習「リムパック16」は26もの国と地域が参加する世界最大規模の演習となった。
1971年に開始された同演習は当初、ソ連による太平洋進出を防ぐため、米国の呼びかけで集まったカナダやオーストラリアなど5か国による軍事演習だった。1980年からは日本も参加し、今日までリムパックの“レギュラーメンバー”に名前を連ねている。
冷戦が終結すると、演習は地域紛争・テロ対策といった内容に様変わりした。ニューヨーク同時多発テロが起きたことも転換点となり、この頃から東南アジアや南米からの参加も始まる。
それが2010年頃から、かつての対ソ連を思わせる「大規模海戦」へと演習内容が逆戻りした。海洋進出を目指す中国の台頭が、環太平洋諸国の脅威となったからだ。
しかし、米国は中国と対立するだけでなく“融和”も模索。これまで「リムパック」を通じて築き上げてきた太平洋の安全保障の枠組みに中国を参加させれば、今後あからさまな敵対行動は起こさないだろうという“懐柔策”を思いつく。
一方の中国は、もともとハワイより西側の太平洋一帯に影響力を持ちたいとの野望を持つ。米中の思惑が相反する中、結果的に中国は前回の「リムパック14」(2014年)から続けての参加となった。